2014 Fiscal Year Annual Research Report
ジストニア発症にかかわる小脳・視床・基底核間の機能的神経路構築
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14F04381
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
杉原 泉 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (60187656)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
NEDELESCU Hermina 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 小脳核 / 視床 / 基底核 / マウス / ビオチン化デキストランアミン / アデノ随伴ウイルスベクター / 単一軸索 / ジストニア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ジストニア発症に関与する小脳と基底核間の機能的神経回路連絡の全体像を系統的に理解するため、小脳核の各部から視床等間脳の各部位に至る出力経路の軸索投射パタン、および、それに関連した視床・基底核間の投射パタンを、従来からのビオチン化デキストランアミン(BDA)を用いる方法と、特別研究員がこれまで学んできたウイルストレーサーを用いる手法で解明することをめざしている。11月28日の研究員着任後、ビオチン化デキストランアミン(BDA)による小脳核ニューロン標識実験を、マウスを用いて行い、再構築可能な標本を10例以上作り出すことができた。これらからの再構築の作業に取りかかっている。また、それと平行して、アデノ随伴ウイルスベクターを用いる実験開始のための準備を開始し、組換えDNA実験の申請書を作成し、3月末にその承認を得ることができた。次いで動物実験センターの感染実験室を使うための手続きなどを進捗させた。さらに、蛍光標識された単一軸索の再構築のため、共焦点顕微鏡画像からパソコン上での再構築する方法の開発にとりかかった。研究室において保有しているAldoc-Venusマウスの蛍光標識プルキンエ細胞軸索、蛍光色素で標識されたデキストランアミンで標識されたノルアドレナリン軸索等をサンプルとして用いている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
11月28日の研究員着任後、4ヶ月の期間であるが、研究員は、受け入れ研究室において、順調に研究を開始している。これには、受け入れ研究室の側で、研究員の研究スペースを予め確保していたこと、そして、齧歯類in-vivo実験環境、組織学実験環境、明視野顕微鏡下の描画環境など、基本的な研究室環境を誰でもすぐ使えるように常々整備していることが寄与している。 本研究のBDAによる小脳核ニューロン標識実験に関しては、研究室にこれまで整備されてきていた環境で行うことができる実験であること、研究室内の大学院生も研究に参加してくれたことなどにより、容易に多数の標本を作り出すことができた。アデノ随伴ウイルスベクターの実験開始に関しては、受け入れ研究室の側で、これまで全く経験がなかったこと、そして、研究員が外国人であるため、日本語で記載する必要のある種々の申請書等の記載を任せることができず、すべて研究代表者が記載しなくてはならないなどの点で、かなり大変な作業であったが、鋭意努力した結果、平成27年3月末に、組換えDNA実験計画書の承認を得ることができた。それを受けて、動物実験センターでの感染実験室を使用するアデノ随伴ウイルスベクターの実験の申請書を提出することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
小脳核ニューロンの単一軸索に関しては、これから再構築の作業を進めていく。視床VA/VL核に投射すると同時に視床内外のどこに軸索側枝が投射するのか、その軸索側枝や本幹の投射先と、小脳核内の軸索の起始部位との間の位置対応関係はどうなっているかなどを解析する。一方、淡蒼球内節を始めとする基底核の各所にも微少BDA注入を行い基底核からの出力線維、特に視床に投射する線維を標識し、部位対応関係と枝分かれによる分散投射パタンを同様に解析する。 アデノ随伴ウイルスベクターの実験に関しては、間もなく実験が承認され、動物実験センターでの感染実験室の使用訓練のセミナーが受けられるはずである。それを受けて、実験室内にマウスの脳固定装置、顕微鏡等の注入実験の設備を設置することになる。そういった、実験の準備を鋭意進め、遅滞なく実験が開始できるようにする。近年普及してきている、ウイルスベクターによる遺伝子導入法を、この特別研究員の採択がきっかけとなって私たちの研究室に導入することができる意義は大きいと考えている。
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Research Products
(3 results)