2015 Fiscal Year Annual Research Report
イネいもち病菌レースと抵抗性遺伝子との相互分化に関する研究
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14F04388
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Research Institution | Japan International Research Center for Agricultural Sciences |
Principal Investigator |
福田 善通 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 熱帯・島嶼研究拠点, プロジェクトリーダー (40399374)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KHAN MOHAMMAD 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 熱帯・島嶼研究拠点, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | いもち病菌レース / イネ遺伝資源 / バングラデシュ / 相互分化 / 栽培生態型 / 病原性 / 抵抗性 / 遺伝的変異 |
Outline of Annual Research Achievements |
イネの品種におけるいもち病抵抗性と病原菌との相互分化を明らかにするため、バングラデシュを対象として、イネ遺伝資源の抵抗性変異と菌系の病原性変異を明らかにすることを目的とした。 イネ遺伝資源の抵抗性変異解明のため、バングラデシュから導入した300アクセッションのイネ品種について70のイネゲノム染色体上に分布するSSRマーカーの多型情報による分類を行うとともに、20の標準いもち病判別菌菌系を用いた反応性の変異を明らかにした。SSRマーカーの分類によりインド型と日本型品種に分類することができたが、Aus, Amanon,Boro、Jhumのバングラデシュにおける栽培シーズンあるいは生態型間で、インド型と日本型品種が複雑に混合されて栽培されていることを明らかにした。また、栽培生態型間や近代品種と在来品種の間において、異なる抵抗性変異が存在することをも明らかにした。 またバングラデシュ各地から、また異なる栽培生態型のイネより採取したいもち病菌菌系の病原性を明らかにした。栽培生態型により菌レースが顕著に変化するが、地域間ではほとんど変異による差異がないことを明らかにした。つまり、バングラデシュ全体では、多様ないもち病菌レースが分布しており、一方で同一の場所であっても、栽培シーズンが変わることにより菌レースの種類が変化することを明らかにした。つまり、栽培シーズンによりイネ品種が変わり、それに対応して罹病できるいもち病菌レースが変動する可能性を示すことができた。 現在、抵抗性と菌レースの分化の詳細な関連性を検討しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
イン遺伝資源の変異およびいもち病菌レースの変異を、よく解析できてきたと考える。本情報は、学術的に新規性の高いものであるとともに、バングラデシュのいもち病防除のための基礎的知見として利用ができ、イネ栽培や品種開発に寄与することができる。
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Strategy for Future Research Activity |
イネ遺伝資源の抵抗性については概略的な抵抗性の変異の解明にとどまっており、今後は高い抵抗性を示す品種や、逆に感受性となり問題となっている品種についての抵抗性の詳細な遺伝様式を解明するとともに、遺伝的改良に向けて手段を検討するための情報を集積する。
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Research Products
(2 results)