2015 Fiscal Year Annual Research Report
畑土壌における一酸化二窒素ガス消去微生物の特定・分離と発生削減技術への応用
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14F04390
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
妹尾 啓史 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (40206652)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SHEN WEISHOU 東京大学, 農学生命科学研究科, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 一酸化二窒素ガス / 畑土壌 / 土壌微生物 / 土壌学 |
Outline of Annual Research Achievements |
新潟県農業総合研究所内の圃場から採取した黒ボク土壌を用い、粒状有機質肥料の施肥方法(局所施肥、全層施肥)と施肥量の異なる(通常量、5倍量)系、土壌水分含量の異なる(最大容水量の40, 60, 80%)系の土壌ミクロコズムを作製し、保温静置して経日的にN2O発生量を測定した。 各実験系において、設定した条件の違いがN2O発生量やN2O発生のピークのタイミング等に影響を与えていることが明らかとなった。また、すべての実験系に共通して、培養を続けるとN2O発生が収束した。土壌中のアンモニア態窒素量、硝酸態窒素量および土壌pHの測定から、すべての培養条件において、有機質肥料からのアンモニア化成とそれに続く硝化が起きていることが示唆された。培養条件によらず同程度の硝化が同時期に起こっていることが示唆されたため、硝化反応の副産物に由来するN2Oの寄与は比較的小さく、N2Oの主な生成経路は脱窒であると考えられた。土壌DNAを抽出してnirKならびにnirSの存在量を測定した結果、施肥に伴いcluster1(Wei et al., ISME J)に分類されるnirK遺伝子の存在量が増加した一方で、他のclusterに分類されるnirK遺伝子やnirS遺伝子の存在量は増加しなかった。このことから今回の実験系で見られたN2O発生には脱窒の寄与が大きく、特にcluster1に分類されるnirK遺伝子を保有する脱窒細菌群が大きく関わっている可能性が示唆された。 一方、これまでに分離・選抜したN2O消去脱窒菌を添加した粒状有機質肥料を黒ボク土圃場(東大生態調和農学機構)ならびに灰色低地土圃場(新潟県農業総合研究所)に施用してN2Oフラックスを測定し、N2O発生削減効果を示す菌株を複数見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度の研究実施計画にほぼ沿った実験を実施して、研究目的としていた土壌でのN2O生成微生物の特定ならびにN2O発生削減効果を示すN2O消去微生物の特定を達成した。
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Strategy for Future Research Activity |
有機質肥料に添加することによりN2O発生削減効果を示すN2O消去微生物のN2O還元能力を、培地組成の改変によって高めることを試み、N2O発生削減技術へ応用する。
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Research Products
(1 results)