2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14F04400
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
昆 泰寛 北海道大学, (連合)獣医学研究科, 教授 (10178402)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ELEWA Yaser 北海道大学, (連合)獣医学研究科, 外国人特別研究員
|
Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
|
Keywords | 縦隔脂肪付属リンパ組織 / 自己免疫疾患 / 肺 / マウス |
Outline of Annual Research Achievements |
脂肪組織は一般にエネルギー貯蔵器官として機能しているが、レプチン、エストロゲン、レジスチン、TNFαなどのホルモンやアディポカインを産生する内分泌器官としても機能している。近年、ヒトとマウスで腸間膜脂肪組織に新規のリンパ組織が発見され Fat-associated lymphoid clusters (FALC)と命名された。FALCは、Th2 サイトカインであるIL-5, -6, -13を大量に産生することで自然免疫に関与し、炎症や微生物感染に対する免疫機能を有する。著者らの研究グループは、マウスを用いて胸郭内の縦隔脂肪組織にも同様のリンパ組織の存在を発見し、Mediastinal fat-associated lymphoid clusters (MFALC)と命名した。本研究の目的は、MFALCの形態、動態および機能について検討し、呼吸器疾患との関連を明らかにすることである。 平成26年度は、MFALCの系統差に関する形態学的解析を行った。まずC57BL/6N、DBA/2CrおよびMRL/MpJを用い、MFALCの大きさならびに集塊を形成する細胞の種類を免疫組織化学的に解析した。その結果、C57BL/6Nで有為にMFALCが大きく、主としてCD4+ T細胞が集塊を形成していることが明らかとなった。またc-Kit+/CD127+のnatural helper 細胞が集塊内に検出されるとともに、集塊内での細胞増殖が認められた。次に、マウス系統として、健常マウスのC57BL/6N、MRL/MpJ、BXSB/MpJ-Yaa+を、自己免疫疾患モデルのMRL/MpJ-lpr、BXSB/MpJ-Yaaを用い、MFALCの大きさと肺へのT細胞浸潤度(CD3+ T cell)との関係について検討した。その結果、自己免疫疾患モデルマウスではMFALCが大きく、さらに肺へのT細胞浸潤度も高く、それらには有為な相関が認められた。 以上の所見より、肺への細胞浸潤はMFALCに由来することが考えられ、胸腔内には独特な生体防御機構が備わっている可能性が示唆される。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
自己免疫疾患モデルでの解析を実施し予想される結果が得られた点から、今年度の目標を達成できたと評価した。
|
Strategy for Future Research Activity |
肺疾患、とくに急性あるいは慢性炎症におけるMFALCの関連を解析する。
|
Research Products
(3 results)