2015 Fiscal Year Annual Research Report
膵臓がん幹細胞の分化促進化合物を用いた革新的治療技術開発
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14F04407
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
栗崎 晃 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 創薬基盤研究部門, 上級主任研究員 (60346616)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ZHOU RUI 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 創薬基盤研究部門, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | がん / 幹細胞 / 遺伝子 / 分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度開始した同定化合物のすい臓がんを移植した担癌マウスモデルを用いたin vivo投与実験については、単剤投与して腫瘍の大きさを計測することで、実際にin vivoで腫瘍抑制効果があるか検証した。その結果、実際に本化合物が優位に腫瘍増殖を抑制することを確認した。また、マウスから腫瘍を取り出して切片を作製して解析してみたところ、Ki67陽性の増殖性の細胞が減少し、活性化caspas3陽性の細胞が増加する傾向がみられた。また、腫瘍内の血管についても同定化合物投与群で減少傾向が観察されたことから、本化合物が生体内で実際に腫瘍形成を抑制する作用があることを確認した。さらに、腫瘍の定量的RT-PCRによる遺伝子発現解析により、CD133やALDH1などのがん幹細胞マーカー候補遺伝子についても解析したところ、これらの遺伝子マーカーの発現が化合物投与により低下することが確認された。以上のことから、同定した化合物ががん幹細胞にも抑制的に機能している可能性が示唆された。現在、他のすい臓がん細胞を移植した担癌マウスで同様の腫瘍抑制効果がみられるか検討を始めている。また、さらなる有効性の向上のため、単剤のみならず既存抗がん剤との併用効果についても検討する必要があることから、これまで有効性が報告されているゲムシタビンなどの抗がん剤との併用が有効であることをin vitroで検討した。その結果、がん幹細胞の存在の指標となる浮遊培養条件下における足場非依存的な増殖が、ゲムシタビンとの併用でより抑制されることが確認された。今後、この併用効果についてもin vivoで検証を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
同定化合物が実際に生体内で腫瘍形成を抑制できることを見出し、さらにがん幹細胞にもある程度の有効性があることが示唆されたことから、おおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
上述のとおり、すい臓がん細胞を移植した担癌マウスを用いて、本同定化合物のin vivo腫瘍抑制効果を、他のすい臓がん細胞株でも検討し、本化合物の有効性を検証する。また、本化合物のさらなる有効性を検討するため、既存抗がん剤であるゲムシタビンなどの抗がん剤との併用効果についてin vivoでも検証を進め、延命効果やがん幹細胞に及ぼす影響を解析する。さらに、マイクロアレイ解析データを整理し、作用機序について解析を進める。
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