2014 Fiscal Year Annual Research Report
次世代テラヘルツ無線システムの構築に向けた送受信集積回路技術の研究
Project/Area Number |
14F04701
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
永妻 忠夫 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (00452417)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
DIEBOLD Sebastian 大阪大学, 基礎工学研究科, 外国人特別研究員
|
Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
|
Keywords | テラヘルツ / 共鳴トンネルダイオード / 無線通信 |
Outline of Annual Research Achievements |
26年度は、以下の3点について研究を行った。 1)共鳴トンネルダイオード(Resonant Tunneling Diode: RTD)を用いた無線通信技術の現状を分析、回路基板に対して垂直方向にテラヘルツ波を放射するアンテナの開発が火急の課題であるとの結論に達し、広帯域性において優れている「折り返しダイポールアンテナ」に関する検討を行った。本アンテナをアレイ構造にして、基板内で生じる不要モードを抑制するとともに、RTD素子と集積することによって自己発振型ミキサとして動作可能な受信器回路を設計した。その後、レイアウト設計を行い、本年度末、共同研究企業において試作を完了した。現在、試作した回路チップを評価するために、専用のモジュールに実装中である。2)RTD素子自体の発振器ならびに自己発振型ミキサとしての動作に関する検討を行った。まず、ミリ波帯、テラヘルツ波帯でこれまでに用いられている通常のダイオード回路をRTD用に改良することとした。そのために必要となるRTD素子のモデリングを行った。試作したテスト回路をRF測定し、等価回路モデルを構築した(国際会議2件)。3)現状のRTD受信器の実装において、伝送帯域を制限している原因を追求した結果、RTD素子のベースバンド回路(IF回路)の広帯域化が必要であることを明らかにした。新たなIF回路を試作し、受信器としてこれまでの結果を上回る、15Gbit/s以上の伝送レートを実証した(国内会議1件)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
RTD素子のモデリング、新アンテナを集積した回路設計、試作の一連の研究を予定通り完了することができたと共に、受信器においては、15Gbit/s~20Gbit/sの伝送実験に成功し、これまでの記録であった10Gbit/sを大幅に超えることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
27年度は、以下の4点に注力して研究を行う。 1)26年度に成功したIF回路を有する受信器に、新たにHDPEレンズを実装することを試みる。これまでに用いていたSiやMgOよりも安価な受信器が実現できる。2)26年度に試作した、新しいアンテナを用いたRTD受信器の評価により、伝送速度の記録更新を目指す。3)26年度に確立したRTDの回路モデルに基づき、高出力・低雑音特性を有するRTD発振器を開発する。低雑音化については、評価法に関しても検討を行う。また、発振を安定化するために、高いQ値を有するタンク回路の開発を行う。さらに、新たなミキサ回路の開発を行い、ミキサと発振器を分離した構成によりRTD送信器の伝送速度の向上を図る。4)以上の検討により、最終的に、オールRTDによるロバストな送受信器を実現する。目標として、OOK変調方式により、送信として5~10Gbit/s、受信として20~30Gbit/sを目指す。
|
Research Products
(7 results)