2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14F04745
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
植村 浩 独立行政法人産業技術総合研究所, 生物プロセス研究部門, 上級主任研究員 (20356562)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
GARAIOVA Martina 独立行政法人産業技術総合研究所, 生物プロセス研究部門, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 酵母 / 発酵生産 / リシノール酸 / 脂肪酸 / 脂質 / 分泌生産 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は石油資源に依存しないウレタン原料として注目されているリシノール酸(RA)の酵母での発酵生産を実施している。RAは水酸基を含む特殊な脂肪酸なので通常の生物は合成できず、我々も当初異種生物のRA合成遺伝子を導入したが酵母が死滅し失敗した。しかしこの酵素活性が温度依存性あることを発見し、培養温度を途中でシフトする方法の考案、またRAが示す細胞毒性の根本的な解決のため、高濃度RAに耐性を示す遺伝子をスクリーニングし、耐性遺伝子plg7を発見により全脂肪酸の50%超の高いRA生産を達成した。またplg7の高発現によりRAの細胞外への分泌生産に成功した。 酵母は本来脂肪酸や脂質を分泌できないため、従来は脂肪を細胞より抽出後、脂肪酸を更に精製していたが、我々の系では脂肪では無く既に遊離した脂肪酸を培養と同時に培地内に分泌できるため、従来の方法に比べて菌株の培養と脂肪酸精製の両面で大幅なコスト削減が期待出来ると考える。しかし、酵母は本来脂肪酸や脂質を分泌できないため、その分泌機構や関連遺伝子に関する知見は皆無で、RAの毒性解除に関しても機構は不明である。 そこで本研究では、RA分泌に関与する新たな遺伝子を同定することにより RA分泌機構やRAの毒性機構を解明し、分泌能力の上昇、更なる耐性能の増加を実現し、RAの分泌生産系の開発を目指している。 平成26年度は、遺伝子ライブラリーをスクリーニングすることにより、RA分泌を阻害する可能性のある遺伝子を含むDNAフラグメントが得られた。また分泌にはトランスポーターが関与すると考えているため、既に知られているものおよびゲノム配列よりトランスポーターと予想される遺伝子を多コピーで酵母内で発現させた。その結果、分泌量が増加する遺伝子候補がいくつか得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に示した様に、分泌に関与していると考えられる候補遺伝子が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要に示した様に、RAの分泌に関与していると考えられる候補遺伝子が得られているため、まずはこれらの遺伝子を別のプロモータで強発現させるなどにより更に解析を進める。同時に更なるRA耐能の強化と増産のために、既に得られているRA耐性遺伝子plg7以外でRA耐性に関与した他の遺伝子や因子の探索やRAの分泌(排出)により耐性を付与する遺伝子などを探索する。 得られた候補遺伝子に関して強発現や破壊を行い、そのリシノール酸生産量、細胞内分布状態などを分子生物学、生化学、遺伝学的な側面から解析し、耐性遺伝子の作用機構、リシノール酸生産に及ぼす影響を解明する。
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