2014 Fiscal Year Annual Research Report
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14F04800
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
新井 史人 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90221051)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ZHONG Jing 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | ナノ・マイクロメカトロニクス |
Outline of Annual Research Achievements |
磁場で操作可能な細胞内局所環境センサとして,直径500 nmのポリスチレン微粒子の表面を磁性体で修飾した磁性微粒子に,温度感受性の蛍光色素の一つであるローダミンBを内部に導入し,ナノ温度センサを作製した.作製したナノ温度センサと精度0.3℃で温度制御が可能で顕微鏡上に設置可能なチャンバを用いて,温度と蛍光強度の関係を較正し,基準温度の蛍光強度を1とした祭に相対蛍光強度が温度と比例しており,温度センサとして利用可能であることを確認した. 作製したナノ温度センサの加熱には光ピンセット(使用レーザ波長:1064 nm)を用いて任意のセンサのみを加熱する方式を用いた.今年度は,ローダミンBを導入したフォトレジストで作製したナノ温度センサをマイクロプレート上で加熱し,(1)プレートの温度変化の分布からナノ温度センサの上昇温度を見積もる方法と,(2)1次元の熱伝導方程式を用いて評価する方法,の二種類を行っており,より精度が高いものを今後用いていく計画である. 作製したナノ温度センサのレーザによる局所加熱により,任意のナノ温度センサを高速に細胞内へ導入する実験を行い,細胞内へ数~十数秒で能動的に導入することに成功し,再現性も確認できている.これにより,磁場で操作したセンサを細胞表面に固定し,局所加熱により任意のセンサを細胞内に選択的に導入するための,基本原理を確認できた.今後は,センサのサイズ,加熱温度・時間,細胞へのダメージなどを評価し,高速細胞導入の実現に向けて研究を進めていく. 今後は,磁気ピンセットによる磁気駆動ナノセンサの3次元操作システムを構築する.2つの電磁石のペアを1セットとし,3セットの電磁石のペアを用いることで3次元操作を実現する計画を立てており,現在, FEM解析ソフトウェアのCOMSOL MULTIPHYSICS等を用いて電磁場解析を行い,システム設計を進めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
磁気駆動ナノ温度センサの作製は順調に進んでおり,また細胞内への温度センサの導入も光ピンセットによる局所加熱により数秒のオーダーで成功している.今後,細胞へのダメージを温度センサの上昇温度と加熱時間を基に評価することで,低侵襲かつ高速なオンデマンド細胞導入が実現できるとかんがえている.また,この成果を国際会議IEEE NANO2015に投稿し採択されており,成果の発信準備も順調に進んでいる.磁気駆動ナノセンサの3次元操作のためのシステム構築は現在設計を進めている段階であり,全体的に本課題は順調に進展しているものと考える.
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Strategy for Future Research Activity |
磁気ピンセットシステム及び磁気駆動ナノセンサを用いて,癌細胞やMDCK細胞(犬の腎臓細胞,インフルエンザウイルスの感染解析のモデル細胞として用いられる)への選択的細胞導入と細胞内状態計測を進める. 磁場操作可能な細胞内局所環境センサのサイズ,レーザによる加熱温度・時間,細胞へのダメージの評価を行う.この評価結果に基づいて,細胞内高速導入に適した条件を明らかにする.現在,細胞への付着は,微粒子と細胞表面の受動的な付着によるものである.そこで,細胞膜と融合する人工脂質膜(リポソーム)内にセンサを封入し,人工脂質膜の電荷をフォトクロミック材料のスピロピランの光異性化を用いて,細胞膜への付着を制御することで,ナノ温度センサを選択的に細胞導入する.また,計測対象は温度だけでなく,他のパラメータ(pH,酸素濃度,イオン濃度)の計測にも適用可能かどうかについても検討する. 3次元磁気ピンセットシステムを構築し,ナノ温度センサの操作,細胞固定・導入の一連の作業を実現し,細胞内の任意の場所の物理的・化学的特性を蛍光及び外部磁場印加時の磁気駆動ナノセンサの応答から計測する.
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