2014 Fiscal Year Annual Research Report
ウマ子宮内膜における異種細胞間の相互機能調節に関する研究
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14F04802
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
奥田 潔 岡山大学, 環境生命科学研究科, 教授 (40177168)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SZOSTEK Anna 岡山大学, 環境生命科学研究科, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | ウマ / 子宮内膜炎 / 線維症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ウマ慢性変性子宮内膜炎の発病機序の解明を目的としている。慢性変性子宮内膜炎は、他の器官における線維症に類似しており、この線維症の原因はコラーゲンの沈着であると考えられている。本研究において、慢性変性子宮内膜炎に感染したウマ子宮を変性の程度に基づいて4グループにわけたところ、変性が進行するにつれて筋繊維芽細胞数が増加することが明らかとなった。さらに変性の進行した子宮内膜組織において、Matrix metalloproteinase (MMP)-2 の活性および MMP-9 の発現ならびに活性が高まることを明らかにした。これらの結果より、変性子宮内膜炎組織においては繊維芽細胞が筋繊維芽細胞へと分化し、通常の細胞分布と比べて異常が生じることに加え、コラーゲンを分解できる MMPs の発現異常に伴い、正常でないコラーゲン分布の原因となっている可能性が考えられる。本研究により得られた基礎的知見は、MMPs の活性および発現異常を抑制する方向でのアプローチによる慢性変性子宮内膜炎治療法開発に資すると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度への繰り越し理由は「予定より多くの筋繊維芽細胞マーカー発現を検討する必要が生じたため」であったが、予定になかったMMP-2およびMMP-9の発現および活性を筋繊維芽細胞において検討することができ、おおむね順調に結果を得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
ウマ子宮線維症の原因はコラーゲンの沈着であると考えられ、transforming growth factor (TGF)-β1にはコラーゲン沈着作 用のあることが報告されていることから、今後 TGF-β1 の異常分泌が慢性変性子宮内膜炎発病のトリガーとなっていると仮説 を立てそれを立証する。慢性変性子宮内膜炎に感染したウマ子宮を変性の程度に基づいて4グループにわけ、変性進行程度と筋繊維芽細胞数の関係を検討する。また筋繊維芽細胞のマーカーであるα-smooth muscle actin (α-SMA) 発現に及ぼす TGF-β1 の影響について in vitro における子宮内膜組織片培養によって検討する。さらに、正常なウマ子宮内膜より単離した上皮細胞ならびに繊維芽細胞の形態に及ぼす TGF-β1 の影響を検討し、ウマ子宮内膜繊維芽細胞から筋繊維芽細胞への分化の可能性について検討する。
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