2015 Fiscal Year Annual Research Report
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14F04918
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
永崎 洋 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 電子光技術研究部門, 首席研究員 (20242018)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SONG DONGJOON 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 電子光技術研究部門, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 高温超伝導 / 角度分解型光電子分光 / 臨界電流密度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、銅酸化物、鉄系高温超伝導体をその研究対象として、同物質群の応用ポテンシャルの見極め、超伝導特性の最適化と更なる特性向上を行った。 銅酸化物超伝導体では、その超伝導転移温度(Tc)決定要因を明らかにするために、様々な化学組成の(Pr,La,Ce)2CuO4単結晶を帯域溶融法(Floating Zone法)を用いて作製し、ポストアニーリングを施すことによりそのTcが最適となる条件を抽出した。得られた試料のキャリア濃度を角度分解型光電子分光(Angle-resolved Photoemission Spectroscopy)で見積もり、同物質においては酸素量がほぼ正規組成となる点においてTcが最大となることを見いだした。本結果は、従来信じられていた、酸素欠損が超伝導を誘発するという考えとは異なるものであり、酸素欠損の存在は本物質の超伝導出現においてむしろ阻害要因であることを示している。 また、鉄系高温超伝導体では、フラックス法を用いてBaFe2As2を母物質とする一連の超伝導体単結晶を育成し、そのTc、臨界磁場(Hc2)、および臨界電流密度(Jc)の精密測定を行った。その結果、TcとHc2は共通したドーピング依存性を有するのに対し、Jcは最大のTcを示すよりも低いドーピング領域で最高値となることを発見した。同結果をもとに、鉄系超伝導体における実用線材作製指針を提唱し、論文としてまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
銅酸化物超伝導体、鉄系超伝導体の両者において、その応用ポテンシャルの定量的評価に成功を収め、後者については得られた知見を元に実際の線材の試作が開始された。
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Strategy for Future Research Activity |
10月1日より育児休暇を取得した。復帰次第、これまでの成果をまとめた論文を完成させる予定。
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Research Products
(1 results)