2002 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリアDNA突然変異導入モデルマウスを用いた病態発症機構の解明
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14GS0305
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
林 純一 筑波大学, 生物科学系, 教授 (60142113)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米川 博通 (財)東京医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 副所長 (30142110)
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Keywords | ミトコンドリア遺伝子病 / マウス突然変異型mtDNA / 病態モデルマウス(ミトマウス) / ミトコンリア間相互作用 / 臨床症状の多様性 / クローンマウス / 核移植による遺伝子治療 |
Research Abstract |
(研究成果:1)MitoMouseの再作製 MitoMouseを作製する際、培養細胞に存在する突然変異型mtDNAを導入したが、突然変異型mtDNAが大量に蓄積しないと臨床症状が発症しなかったことから、ミトコンドリア間相互作用の存在が示唆されていた。今年度はこの問題に明確な結論を得るため、再度MitoMouseを作製した。その際、受精卵は種の異なるマウス(Mus spretus)のmtDNAを持つB6 mtspr系統を用いた。その結果、突然変異型mtDNAを蓄積したMitoMouseでもやはり臨床症状を発症しなかったことから、生きているマウスの組織でもミトコンドリア間相互作用が存在することが立証された。この研究成果は現在投稿中で1ある。 (研究成果:2)突然変異型mtDNA遺伝様式の基礎研究と極体を用いた遺伝子診断 ヒトやマウスでは病原性突然変異型mtDNAが子孫に伝達されないように卵細胞の段階でリセットする機構が存在すると言われているが実際には証明されていない。この問題を解決するには雌のMitoMouseの卵成熟過程における突然変異型mtDNAの割合の変動を定量PCR法を用いて調べればよい。そこで、はじめに定量PCR法によって一つの卵細胞の突然変異型mtDNAの割合を測定する条件の設定を完了し、現在データを採取しているところである。また極体と受精卵の突然変異型mtDNAを定量したところ、両者に大きな差がないことが判明した。この事実は極体を用いてミトコンドリア病の遺伝子診断が可能であることを示しており、現在論文準備中である。 (研究成果:3)MitoMouseの核交換 核のバックグラウンドが異なると臨床症状も微妙に変化するはずである。そこでMitoMouseの核移植によりクローンマウスを作製することを検討した。この技術は極めて難しく条件設定にかなりの時間を要するが、現在試行錯誤を繰り返して条件設定を行っているところである。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Jun-Ichi Hayashi: "In reply to inter-mitochondrial complementation of mtDNA mutations"Nature Genetics. 30. 361 (2002)
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[Publications] Kimiko Inoue: "Production of mitochondrial DNA transgenic mice using zygotes"Methods. 26. 358-363 (2002)
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[Publications] Noriko Enomoto: "Hypoxic induction of hypoxia-inducible factor-1a and oxygen-regulated gene expression in mitochondrial DNA-depleted HeLa cells"Biochem. Biophys. Res. Commun. 297 : 346-352. 297. 346-352 (2002)
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[Publications] Yoshinori Takahashi: "Mammalian copper chaperone Cox17p has an essential role in activation of cytochrome c oxidase and embryonic development"Mol. Cell. Biol. 22. 7614-7621 (2002)
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[Publications] Kazuto Nakada: "A novel defence system of mitochondria in mice and human subjects for preventing expression of mitochondrial dysfunction by pathogenic mutant mtDNAs"Mitochondrion. 2. 59-70 (2002)
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[Publications] 中田 和人: "RNAの細胞生物学:ミトコンドリアtRNA変異マウス"蚤白質 核酸 酵素. (印刷中). (2003)
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[Publications] 林 純一: "ミトコンドリア・ミステリー"講談杜ブルーバックス. 297 (2002)