2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14GS0319
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小椋 利彦 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (60273851)
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Keywords | 機械的刺激 / Tbx5 / 転写調節 / non-canonical Wnt |
Research Abstract |
Tbx蛋白の転写因子としての性格を知る目的で、Tbx5のco-activatorの同定を行ない、MKL2を見いだした。Tbx5はANFプロモーターを10倍程度活性化するが、これにMKL2を加えると転写活性化は数百倍に上昇し、極めて強い相互作用がある。細胞に機械的な刺激が加わると、RhoAを介した細胞骨格のremodelingが起る。機械的刺激、RhoA活性化、Tbx5-MKL2による転写活性化の関係を見るため、活性化型RhoA、Tbx5、MKL2の3者が存在下でANFプロモーターの見ると、転写活性は1000倍を超える極めて高い上昇を見せた。MKL2について解析するため、細胞内局在を検討した。その結果、血清非存在下では、ほとんどが細胞質にあり、RhoA、Profilin、β4-thymosinを発現させると核内に集積した。また、細胞に伸展刺激を加えても核移行が認められた。このことは、細胞に機械的刺激が加わると、細胞骨格のremodelingが起り、これがMKL2の核移行を誘導してTbx5の著しい転写活性化を引き起こすと理解できる。 細胞骨格remodelingの観点で考え、non-canonical Wntシグナルの関与を検証した。活性化型DaamlはTbx5-MKL2の転写活性化能を、活性化型RhoA同様に著しく亢進させた。これは、Daaml、RhoA/JNKを介するnon-canonical Wntシグナルも、Tbx5の転写活性化能に強く影響することを意味する。心筋分化、heart tube形成時の心筋細胞の移動、極性を持った心筋組織の構築には、non-canonical Wntシグナルが必須であることが知られており、今回見いだされてメカニズムは、このことにも関連していると考えられる。また、細胞に機械的刺激を加えると、remodeling、vesicle traffickingが活性化されることもわかり、Wnt ligandが存在しなくても、機械的刺激単独でnon-canonical Wntシグナルをmimicできることを示唆している。これは、物理的な力が、生化学的なシグナルにどのように変換されるかという問いに、新しい視点を開拓するものである。
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Research Products
(1 results)