2014 Fiscal Year Annual Research Report
多重ベルヌーイ数のp-orderとp進L関数および岩澤理論の研究
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14J00005
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
坂田 実加 九州大学, 数理学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 多重ベルヌーイ数 / ベルヌーイ数 / 多重ゼータ値 / Arakawa-Kanekoゼータ関数 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、多重ベルヌーイ数の性質の解明を目指すものである。正のインデックスをもつ多重ベルヌーイ数はArakawa-Kanekoゼータ関数の負の整数点での値に現れることが知られており、このゼータ関数の正の整数点での値は多重ゼータ値で記述される。負のインデックスをもつ多重ベルヌーイ数はロンサム行列の個数や対称群の特定の元の個数と一致するなど、組合せ論的数量と関わりを持つ。 今回は、多重ベルヌーイ数のp進的な性質を解明するため、多重ベルヌーイ数の素数での可除性について研究を行った。多重ベルヌーイ数には2種類の定義が知られており、一方の多重ベルヌーイ数については、ArakawaとKanekoによってクラウゼンフォンシュタウト型定理が示されていた。もう一方の多重ベルヌーイ数についても、分母の素数での可除性について研究を行った。 また、多重ゼータ値についても研究を行い、Arakawa-Kanekoゼータ関数と多重ゼータ値の関係を精密に調べることにより、高さが最小の多重ゼータ値を高さが最大の多重ゼータ値で明示的に表す式を得た。高さが最小の多重ゼータ値の母関数は、ガンマ関数で書き表すことができるため、この多重ゼータ値はRiemannゼータ値たちの多項式で表わされることが知られていたが、本研究により、高さが最大の多重ゼータ値を用いて具体的に表現することができた。さらに今回得られた関係式は、高さが最小の多重ゼータ値の双対性を目に見える形で表現している。これらの成果について、第8回ゼータ若手研究集会において口頭発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多重ベルヌーイ数のp進的な性質の解明にむけて、ある多重ベルヌーイ数の分母の素数での可除性に関する結果が得られた。2重ベルヌーイ数については、これまでに得られていた合同関係式の精密化を行い、成果をあげている。 また、多重ゼータ値についても高さ最小の多重ゼータ値と高さ最大の多重ゼータ値の間の関係式が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
正のインデックスをもつ多重ベルヌーイ数の分子の素数での可除性について考察を行い、クンマー型合同式の解明や多重ベルヌーイ数と円分体等の類数との関係の解明を目指す。 多重ゼータ値に関しては、今回得られた高さ最小、最大の多重ゼータ値の間の関係式とこれまでに知られている関係式たちとの関連性について考察を行う予定である。
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Research Products
(4 results)