2014 Fiscal Year Annual Research Report
原子クラスターの水素貯蔵/触媒効果およびグラフェンに対する密度氾関数理論の適用
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14J00040
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
髙橋 啓介 北海道大学, 工学研究院, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | Atomic Cluster / DFT / Ammonia / Catalyst / Graphene / Hydrogen Storage / Nitrogen oxide |
Outline of Annual Research Achievements |
原子クラスターに関する研究を様々な分野に適用し成果をあげた。
1 鉄クラスターの水素化に関する研究-元来、鉄は水素を化学的に吸うことはないが、自身の研究で(Keisuke Takahashi, et al Applied Physics Letters 102, 113108 (2013))で鉄クラスターは大量の水素を化学的に吸うということが密度氾関数理論によって明らかになった。そこで実験において、鉄クラスターの水素化を実現させるため水素化した鉄クラスターを保持するための基盤探しを密度氾関数理論を用いてスクリーニングした。その結果単層グラフェン上で安定することがわかった。グラフェン上での鉄クラスターの成長はイギリス物理学会の2d materialsより執筆を依頼され出版された。更に実験においてもグラフェン上に鉄クラスターの保持とその水素化を行いみごと成功し、実験と理論の両方から鉄クラスターの水素化を実現した。結果はネイチャーグループのScientific Reportsに掲載された。また、鉄クラスターだけではなく、チタンとの合金クラスターの水素化特性も研究した。チタンとの合金クラスターを作ることによって、常温で水素化及び脱水素化が圧力だけでできるという結果が示され、Physical Chemistry Chemical Physicsに掲載された。
2触媒として-鉄クラスターの更なる特性を理解するため様々な解析を行った結果、酸化した鉄クラスターは触媒として絶大な効果があることが明らかになった。特に一酸化窒素からアンモニアに変換する上で酸化鉄クラスターは触媒効果を発揮し、常温で反応がおこことが示された。 元来アンモニアは肥料などに使われる需要な物質であるが、生成には高温が必要なことが問題点であった。そこで工場の排出ガスや車の排気ガスからでる一酸化窒素から常でアンモニアができるという画期的な研究結果であり、有力化学雑誌(Chemical Communications(IF=6.718))に速報で掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画どおり、原子クラスターを様々な分野に適応し成果を出した。具体的には原子クラスターを水素貯蔵、触媒(一酸化窒素からアンモニアの変換)、原子クラスターの構造決定を理論計算から求め、合計で7本の論文を査読つきの国際雑誌より受理された。また、自ら実験も行い、理論計算を実験によって証明するところまで達成したため、当初の研究計画より大幅に進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画より大幅に進展したため、今後は原子クラスターを他の分野(材料や医療やエネルギー分野)などに応用する研究を続けていく。 また、海外の実験研究者との共同研究も立ち上がったため、理論計算の結果の妥当性や実験との共同研究に力を入れていく。 また、理論計算の手法の開発も同時に行っていく。
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Research Products
(9 results)