2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14J00056
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
一條 遼 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 皮膚 / 幹細胞 / 妊娠 |
Outline of Annual Research Achievements |
皮膚は表皮、真皮、皮下組織から構成される。表皮は基底層、有棘層、顆粒層、角質層からなる重層構造をしており、基底膜に接する基底層の細胞が増殖能を有している。表皮基底細胞は、基底膜に対して水平あるいは垂直に分裂し、前者は皮膚組織の拡張に、後者は表皮の多層化や新陳代謝に必須である。ライフステージに応じて皮膚の恒常性や体積は大きく変動する。特に、妊娠においては、胎児の成長に対応するため皮膚組織の恒常性を変容させる生体システムが存在すると考えられるが、この機構に迫る研究はなされていない。本研究では、妊娠期における表皮基底細胞の増殖制御機構の解明を目指した。我々は、妊娠マウスにおいて、腹側の表皮基底細胞の増殖率が妊娠の進行とともに上昇することを見出した。この上昇は背側表皮基底細胞では見られなかったため、腹側表皮基底細胞の増殖を誘導する妊娠期特異的なメカニズムの存在が示唆された。そこで、非妊娠腹側、妊娠期腹側、妊娠期背側の表皮基底細胞を単離し、DNAマイクロアレイおよびqPCRによって遺伝子発現パターンを比較解析した結果、妊娠期腹側において、転写因子Tbx3の発現が上昇することが分かった。さらに組織染色により、妊娠期において腹側表皮でTbx3陽性の基底細胞が増加することを見出した。興味深いことに、Tbx3陽性基底細胞は、Tbx3陰性基底細胞よりもEdUの取り込み率が高いことから、増殖能が昂進した細胞集団であることが分かった。さらに、K14-Cre-ERTとRosa26-lox-stop-lox-GFPマウスを用いた一細胞ラベル法により基底細胞の分裂様式を解析した結果、妊娠期腹側表皮では、Tbx3陽性細胞と陰性細胞を産生する水平方向の非対称分裂と、二つのTbx3陽性細胞を産生する水平方向の対称分裂が顕著に増加することが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
Tbx3 KOマウスを用いた解析が順調であり、論文投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
妊娠期だけでなく、胎児の発生過程中の表皮基底細胞のにおけるTbx3の発現について検討する。
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Research Products
(1 results)