2015 Fiscal Year Annual Research Report
細菌バイオフィルム中の薬剤耐性変異株の出現機構解析と制御
| Project/Area Number |
14J00089
|
|---|
| Research Institution | University of Tsukuba |
|---|
Principal Investigator |
楊 佳約 筑波大学, 生命環境科学研究科, 特別研究員(DC1)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
|
| Keywords | 緑膿菌 / バイオフィルム / ムコイド変異株 / 細胞間コミュニケーション |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
1.緑膿菌バイオフィルムの抗生物質の殺菌効果の評価
バイオフィルムは浮遊状態の単菌よりも抗生物質耐性がはるかに高い。しかしながら、緑膿菌バイオフィルムに対する治療で使われている抗生物質の殺菌効果の評価は現段階まだ薬剤耐性試験にとどまっており、バイオフィルムに対する殺菌効果の三次元的な可視化の研究はまだ不十分であった。そこで、東邦大学医学部微生物・感染学教室の舘田一博教授との共同研究で、様々な医療現場において緑膿菌治療で使われている抗生物質の単剤または併用での緑膿菌バイオフィルムに対する殺菌効果の評価を共焦点レーザー顕微鏡観察で可視化を行うことで評価を今年度も様々な薬剤の組み合わせで行った。昨年ではコリスチンとの併用で強い殺菌効果が見られた薬剤があったので、今年度も引き続きコリスチンと様々な薬剤の併用効果を調べることにした。その結果、コリスチンとの併用効果が高い薬剤がさらに見つかった一方で、併用効果が顕著でない薬剤や、逆に単剤投与のときよりも併用時の殺菌効果が低下した薬剤も存在することを明らかにした。
2.緑膿菌ムコイド変異株の細胞間コミュニケーション能力の解析
突然変異株が微生物集団中での挙動を調べるために、突然変異株の細胞間コミュニケーション能力について調べた。昨年度は、緑膿菌ムコイド変異株が細胞間コミュニケーションをする際、緑膿菌の生産する複数のシグナル物質に対する応答性が全体的に低下し、さらに特定のシグナル物質に対する応答性がほとんどないことを発見した。そのことから、ムコイド変異株は集団中で異なる挙動を示す可能性があることが示唆された。よって今年度は引き続きその応答性がシグナル物質によって変化する具体的なメカニズムについて調べた。文献調査を行い、様々な関与する可能性のある因子について調べ、実験を行い、現在引き続き継続中である。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
細菌集団中に出現する突然変異株の挙動解析を行っており、今年度は特に緑膿菌のムコイド変異株の細胞間コミュニケーションについて研究を行った。ムコイド変異株では緑膿菌の生産する複数のシグナル物質に対する応答性が全体的に低下し、さらに特定のシグナル物質に対する応答性がほとんどないことが明らかにされたが、今年度はそのメカニズムについて詳しく調べた。様々な影響を与える可能性のある因子について調べ、実験を行い、メカニズム解明につながる因子を現在解析している。
|
| Strategy for Future Research Activity |
緑膿菌ムコイド変異株の緑膿菌の生産する複数のシグナル物質に対する応答性が全体的に低下し、さらに特定のシグナル物質に対する応答性ほとんどないことのメカニズムについて様々な影響を与える可能性のある因子について調べ、実験を行い、メカニズム解明につながる因子を解析する。
また、バイオフィルム中に出現する突然変異株の可視化と挙動解析を共焦点レーザー顕微鏡とフローサイトメトリーを用いて引き続き解析する予定である。
|
Research Products
(7 results)
