2015 Fiscal Year Annual Research Report
マルチコアファイバを用いた超大容量空間多重光ファイバ伝送技術の研究
Project/Area Number |
14J00198
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
渡邉 達彦 横浜国立大学, 工学研究院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 空間多重伝送 / モード多重伝送 / モード合分波器 / マルチコアファイバ / 数モードファイバ / モード分析技術 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)マルチコア光ファイバの伝送チャネル数限界の探求:マルチコアファイバ中のコアの多重度を測る指標として新たに定義した潜在相対コア多重度の観点から,数モードマルチコアファイバの超多チャネル化の設計指針を提示した.計算結果より,LP41モードまで用いることで,潜在相対コア多重度100が達成可能であることを明らかにした.この研究の成果は国内学会や研究会で発表済みであり,今後論文誌に投稿予定である. (2)数モードファイバ用モード合分波デバイス:本研究では昨年度モード合分波デバイスとして,積層導波路逐次モード遷移モード合分波器の提案・実証を行った.上記の成果を論文にまとめ,IEEE Photonics Journalに正論文として投稿し掲載された. (3)同種結合系マルチコアファイバ用モード合分波デバイスの実証:同種結合系マルチコアファイバは一本の光ファイバ内に複数のコアを近接して一次元的に配置し,結合コアで生成される結合モードを伝送チャネルとして用いる光ファイバである.本研究では同種結合系マルチコアファイバ用のモード合分波器の実証を行った.この成果は2015年9月にスペインのバレンシアにて行われた欧州光通信国際会議にて発表され,さらに電子情報通信学会の論文誌であるElectronics Expressに掲載された. (4)モード分析技術:モード多重伝送を実現するためには,光ファイバ中を伝搬するモードやモード合分波器より生成されたモードを分析する技術が必要不可欠である.本研究では導波路出射端でのモードの電磁界の二次元分布から,モードの成分を分析可能な技術として,偏光子回転強度分布測定(IPAP)法を考案した.この結果は2015年11月に福岡で行われた微小光学国際会議にて発表され,さらにJapanese Journal of Applied Physicsに掲載予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
まず,マルチコアファイバの伝送容量限界に関する研究では,平成26年度行った新構造の提案による超多チャネル化法の検討に引き続き,平成27年度はさらに一般化したモード多重伝送における伝送チャネル数限界の検討を行った.この結果は今後論文にまとめて執筆予定である.次に,同種結合系マルチコアファイバ用のモード合分波器の実証を行い,その結果を国際会議で発表し,英文論文誌にも投稿して掲載された.さらには新たに考案したモード分析技術について,卒研生とともに理論的検討と実証を行い,この結果についても国際会議にて発表した.そしてこれらの成果から博士論文を執筆し,博士課程後期の年限を半年短縮(修士課程も半年短縮したので合計1年短縮)して学位を取得した.以上のように当初設定した研究目的は概ね達成されており,今年度はさらにこれまでの研究を発展させた研究を実施する.
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度までの研究の進捗は以下のとおりである.(i)マルチコアファイバ中のコアの多重度を測る指標として新たに定義した潜在相対コア多重度の観点から,数モードマルチコアファイバの超多チャネル化の設計指針を提示した.また計算結果より,LP41モードまで用いることで,潜在相対コア多重度100が達成可能であることを明らかにした.(ii)積層ポリマー導波路を用いて,マルチコアファイバ用のFan-in/fan-outデバイスさらには数モードファイバ用のモード合分波デバイスを実証した.しかしながら,ポリマー材料を用いているため,低損失化が難しくまた物理的耐性にも問題がある.
上記を踏まえ今年度は以下の計画で研究を実施する. (i)概ね達成済みである. (ii)本年度は,シリコンフォトニクス技術を用いてマルチコアファイバもしくは数モードファイバの入出力デバイスの実現を目指す.そのためにシリコンフォトニクスデバイスの設計,製作,評価が可能な一連の設備を有する,スイス連邦工科大学チューリヒ校の電磁界研究所にて研究を実施する.上半期は,シリコン導波路形入出力デバイスの要素技術であるグレーティング結合器の高効率化に関する研究を行う.下半期は,グレーティング結合器を二次元集積した入出力デバイスの実現を目指す.
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Research Products
(6 results)