2014 Fiscal Year Annual Research Report
体育科教育固有の認識形成に関する教授学的研究 -運動技術学習場面に着目して-
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14J00220
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
玉腰 和典 愛知県立大学, 人間発達学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 体育科教育固有の認識形成 / 戦術・技術認識の階層的構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、体育科教育固有の認識形成の構造的な特徴を教授学的方法をもちいて解明していく。 平成26年度では、これまで解明してきた戦術・技術認識の階層的構造をより精密化・具体化するための分析を実施した。分析としては戦術・技術認識の階層的構造における各要素の相互関係を解明するために、認識形成を重視した体育授業で収集されたグループノートや感想文を収集し、球技教材における子どもたちの記述内容を分析していった。分析方法は質的分析ソフトMAXQDAを使用し記述内容を本研究が解明した戦術・技術認識の階層的構造を枠組みとして分類していった。これらの成果は第65回日本体育学会(岩手大学、2015,8,27)にて研究発表した。また認識と技能、そして集団を媒介とする認識交流との相互発展的な関係から戦術・技術認識の階層的構造の実践的な特徴を解明するために、出原泰明の学習集団論を実践化した小学校における鉄棒運動実践を分析し、その成果の一部を『たのしい体育スポーツ』誌に寄稿した。 さらに本年度では国際的な動向を視野にいれわが国における認識形成の課題を解明するために、コンピテンシーの世界的潮流となっているDeSeCoのキー・コンピテンシーから中学校「体育理論」の学習内容を検討してった。その成果は『岐阜経済大学経営学部論集』』にて報告している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度では認識を重視する体育授業の分析を実施し、授業における戦術・技術認識の発達プロセスを解明することを課題とした。これに対し認識を重視する体育授業で収集された学習者の感想文記述の分析から戦術・技術認識の構造的な特徴や発達プロセスを解明するに至った。しかしながら、実際の体育授業の調査分析においては、対象とする体育授業において学習者の十分な認識活動を組織することができず、分析に値する基礎データを収集することができなかった。また体育授業の調査期間は事前の打ち合わせも含め約4ヶ月にわたり・分析期間も2ヶ月と長期にわたったため、2度目の本格的な調査を今年度実施することは困難となった。したがって体育授業における戦術・技術認識の特徴を解明する実証的な研究は一定の成果を得られたもののやや遅れてしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は最終年度である。前年度に積み残した作業課題を推進しつつ、研究をまとめていく必要がある。まずは以下の作業課題に取り組んでいく。 (1)認識を重視する体育授業における学習者の認識発達過程を分析し、論文にまとめて公表していく、(2)認識を重視する実際の体育授業の調査研究を実施し、体育科教育固有とされる戦術・技術認識の階層的・構造的特徴を解明していく、(3)その上で(1)(2)の研究成果をふまえ博士論文を執筆していく。
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Research Products
(4 results)