2014 Fiscal Year Annual Research Report
Naフラックス法を用いた低反り・低欠陥窒化ガリウムウエハ作製技術の研究開発
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14J00276
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
今西 正幸 大阪大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 低反りGaNウエハ / Naフラックス結合成長法 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年GaN結晶はLED分野で大きな注目を集めている材料であり、そのパワーデバイスへの応用性からも高品質化がより一層重要視されている。本研究では、複数の微小種結晶(ポイントシード)を用意し、Naフラックス法で成長する過程で合体させることで大口径かつ反りの小さいGaN基板作製を目指している。本取り組みでは、極めて反りの小さく、欠陥(転位)の少ない結晶を成長可能であるが、(1)結晶の結合界面で欠陥が発生することの抑制及び(2)2インチ以上の大口径基板の作製が極めて重要である。 (1)本研究では、隣接して設置したポイントシードから成長するGaN結晶が結合した際に、その結合界面で転位が発生しない条件を明らかにし、その転位が消滅するメカニズムの調査を行った。ポイントシードの配置位置を結晶の方位であるa軸及びm軸方向の2種類で設置し、結晶を結合成長した結果、a軸方向に結晶が結合した場合においてのみ、結晶欠陥が表面に伝播しないことが明らかになった。転位の有無は、アルカリ融液エッチング及び透過型電子顕微鏡(TEM)観察により確認した。結合界面における欠陥発生の抑制は、デバイス作製時のリーク電流低減に繋がると期待されるが、今後その結合界面での転位挙動が結合方位によって変化するメカニズムの調査が必要とされる。 (2)本研究では、曲率半径100m以上の2インチGaNウエハの作製を目指し、結晶の成長膜厚と曲率半径の関係を調査するとともに、材料力学の観点からその関係グラフの妥当性を評価した。結果、成長膜厚2.6mm以上の成長膜厚において、GaN基板からサファイアを剥離するのに成功し、曲率半径100m以上の2インチGaNウエハ作製に成功した。この結果より、成長膜厚が増加するにつれ結晶の断面二次モーメントが大きくなり、結晶が反る際の応力が大きくなることが反り低減に寄与しているという事も明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
上記に挙げるように、本研究ではGaN種結晶(ポイントシード)をa軸方向に配置することによって、結晶の結合界面で発生した転位が表面に伝播しないことを明らかにし、転位の発生しないポイントシードパターンを明らかにするという当初の目標を達成した。また、曲率半径100m以上と反りの極めて小さい2インチGaNウエハに成功した。これは、2年目に予定していた計画を十分達成する結果である。しかしながら、a軸方向結合での転位挙動に関してはいまだ明らかになっておらず、今後TEM等でのより詳細な調査が求められる。また、曲率半径100m以上を達成する厚膜成長以外の手段として、ポイントシードの径・ピッチ等のパターンを検討するなどで、低反りGaNウエハ作製可能な手法をより拡大していくことが必要とされる。
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Strategy for Future Research Activity |
後、GaN結晶結合界面の転位挙動をTEMやCL等電子顕微鏡観察及び、X線回折を用いてより詳細に評価に行っていく。結合界面の転位だけでなく、ポイントシード直上領域の転位についても着目し、その低減方法を提案する。反りに関しては、ポイントシード径・ピッチ、あるいは冷却条件を検討することで、反り低減手法をより一層模索していく予定である。新たな課題として、GaNウエハ表面が平坦化しないことを課題とし、取り組む。ポイントシードパターン検討の新たな目的として成長層の平坦化を加え、平坦かつ反りの小さい結晶の成長を目指していくこと予定している。
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Research Products
(2 results)