2014 Fiscal Year Annual Research Report
大脳皮質の細胞構築獲得における入力線維を中心とした外的要因の役割の解明
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14J00332
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
佐藤 晴香 熊本大学, 発生医学研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2018-03-31
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Keywords | 大脳皮質 / 領野 / 脳回 / 細胞構築 / 視床軸索 |
Outline of Annual Research Achievements |
大脳皮質の領野および脳回の細胞構築が形成されるメカニズムは興味深い課題であるが未だ明らかになっていない部分が多い。そこで、本研究ではそれに関わる現象および分子基盤を解明することを目的とした。 平成26年度には、まず細胞構築獲得に領域特異的な細胞死が関与する可能性を調べるために、生後マウスおよびモルモットの脳切片に対するCleaved Caspase-3およびsingle strand DNAの免疫染色を行った。その結果、例えば第4層が薄いマウスの運動野や皮質が薄いモルモットの脳溝などに陽性細胞が集中する傾向は見られなかった。 次に、領野の細胞構築が変化するときに特定の領域への細胞移動が起きているのかを調べるために、生体内で大脳皮質ニューロンの移動を観察する系の立ち上げに着手した。子宮内電気穿孔法によりマウスの第4層ニューロンに蛍光タンパク質を導入してラベルし、領野細胞構築が明瞭化する生後にマクロ共焦点顕微鏡で観察したところ、複数領野を含む広視野内でラベルされた細胞の分布を高感度に観察できた。今後はタイムラプス観察系を確立し、ニューロンの移動方向を解析する。 また、脳回の細胞構築獲得に関わる因子を同定するために、脳回に局在する因子を探索した。モルモット脳切片に対して細胞種マーカー等による免疫染色を行ったところ、脳回に強いシグナルを示すものがいくつか見つかった。今後はそれらの脳回形成における機能解析を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は出産・育児に関わる採用中断期間を平成26年4月~9月までとったため、6ヶ月間の採用期間となり、うち平成26年10月~27年1月の4ヶ月間は研究再開準備支援期間であった。限られた研究期間であったが、平成26年度と27年度に行う予定であった実験の大部分に着手し、約半分については結論を得た。このため、本研究はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度には、これまでに着手した平成26年度、27年度に行う予定であった実験のうち結論が得られていない領野・脳回形成における細胞移動、細胞運命転換、視床軸索由来因子NRN1、VGFの役割について解析を進める。また、平成28年度に行う予定である脳回形成における局在因子の役割の解析にも着手する予定である。
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