2015 Fiscal Year Annual Research Report
球技を通して時空間マルチスケールな集団における分岐現象を解明する
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14J00407
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
藤井 慶輔 名古屋大学, 総合保健体育科学センター, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 対人動作 / スポーツ心理学 / バイオメカニクス / 集団運動 / 予測 / 意思決定 / 力学系理論 / バスケットボール |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、球技の時空間マルチスケールな集団行動を明らかにすることを目的に、当該年度は3つの研究について成果をまとめ、成果が国際雑誌に受理された。 (1)まず、相手がいる状況に適応する運動制御過程に着目し、逆動力学法を用いた動力学的分析研究を行った。相手の動き出しに対応して動くというシンプルな状況を仮定し、動き出す前の関節トルクの変化から動き出しが遅れることを説明した。 (2)次に、動きたくても動きが遅れてしまう「移動しにくさ」、つまり武道でいう居着きと呼ばれる概念をモデルに導入し、二者間の攻防を制するには、「自分は居着かず、相手が居着いた瞬間を狙う」ことが重要であることを、実測とモデルシミュレーションを用いて明らかにした。この研究の考え方は、予測不能な環境に適応する、ヒトの動きを解明する新たな枠組みとなることが期待される。 (3)さらに、集団に起こった問題に対する柔軟な協力行動の階層的な構造として、危機のレベルに応じた幾層にも重なった役割の切替えと重複について、集団球技を通して世界で初めて定量化に成功した。集団球技では、実際の社会のように問題・危機が頻発し、全てを事前に防ぐことはできない。そのためチームワークが必要となり、それが球技では目に見えて計測可能なので、協力などの人間関係を理解するための重要な題材となる。近年、選手の位置を自動で計測するシステムが球技のプロリーグ等で商業的に用いられているが、本研究で使用したチームプレーを評価するシステムと組み合わせることで、これまで科学で未解明であったチームワークの定量化が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
これまでの成果が国際雑誌に3本受理され、次の研究も順調に進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は二者間攻防については、より詳細な筋関節モデルを構築して巧みさの本質に迫り、二集団間攻防についてはチームプレーに関して、多方面によるより詳細な分析を行うことを考えている。
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Research Products
(8 results)