2014 Fiscal Year Annual Research Report
ダイレクトリプログラミング法による脳下垂体細胞の作製
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14J00458
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
國分 優子 筑波大学, 生命環境科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 脳下垂体 |
Outline of Annual Research Achievements |
私は1年目の目標として、間葉系幹細胞に転写因子ライブラリーを導入して脳下垂体前葉細胞を作製し、その際に必要となる転写因子を同定することを挙げていたが、目標通り、脳下垂体前葉のマーカー遺伝子を上昇させる4つの転写因子の同定に成功した。この4因子が何らかの形でマーカーであるPit1及びLhx3の発現上昇に係っていることが示唆されるが、現在の段階では最終分化産物であるホルモンの検出にはまだ至っておらず、今後のさらなる検討が必要である。 そこで次のステップとして、別の転写因子の組み合わせを用いて前駆細胞をあらかじめ作製し、そこにさらに今回同定した4因子を導入する方法、及びES細胞から前駆細胞を作製し、そこに4因子を導入する方法を検討しており、それにより作製された細胞が最終分化し、ホルモン放出が確認できることを期待している。 また、ダイレクトリプログラミングの条件検討としてその他サブテーマを実施している。これは、脳下垂体の研究が他分野よりあまり進展しておらず、市販の脳下垂体用培地や標準的培養方法が未確立なことに注目し、ダイレクトリプログラミングを成功に導くことを目的とし、これらの条件検討を行うというものである。その一環として、初代マウス脳下垂体細胞を不死化し、培地と成長因子、培養方法の検討を行った。その結果、TSHbを主に産生する不死化細胞の作製に成功し、DMEM/F12培地とbFGF、EGFの組み合わせ、及び浮遊培養系を用いることが脳下垂体前葉細胞の培養条件として現在のところ最も適しているという結論を得た。また、この細胞を腎被膜下及び皮下に移植することによって、TSHbの発現をさらに上昇させられることも明らかとなり、今後、これらの結果をダイレクトリプログラミング法に応用する予定である。この不死化細胞を用いた実験結果は現在論文投稿の準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
私は1年目の目標として、間葉系幹細胞に転写因子ライブラリーを導入して脳下垂体前葉細胞を作製し、その際に必要となる転写因子を同定することを挙げていたが、目標通り、脳下垂体前葉のマーカー遺伝子を上昇させる4つの転写因子の同定に成功したことから、目標通りの順調な進展があったといえる。この4因子は何らかの形でマーカーであるPit1及びLhx3の発現上昇に係っていることが示唆されるが、現在の段階では最終分化産物であるホルモンの検出にはまだ至っておらず、今後のさらなる検討が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
作製した細胞をホルモンが検出可能な最終分化した細胞にするための試みとして、別の転写因子の組み合わせ(Progenitor factor)を用いて脳下垂体の前駆細胞を作製し、そこにさらに今回同定した4因子を導入する実験を予定している。また、サブテーマとして実施しているES細胞を用いた成長因子による脳下垂体細胞分化誘導系の構築実験により、脳下垂体前葉の細胞を効率よく誘導できる成長因子の組み合わせを明らかにし、その結果をダイレクトリプログラミングに応用する為の検討も併せて実施予定である。 このような検討によって、qPCR及び免疫染色法によって共ににホルモンのmRNA,タンパク質の発現が明らかに検出された場合には、次のステップとしてこの細胞を下垂体欠損マウスの腎被膜下もしくは皮下に移植し、さらなる効率の向上や血中ホルモン濃度の上昇効果について検討する予定である。
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Research Products
(2 results)