2014 Fiscal Year Annual Research Report
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14J00504
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小菅 敦丈 慶應義塾大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 高速インタフェース / 集積回路 / 信頼性 / ノイズ耐性 / 非接触通信 |
Outline of Annual Research Achievements |
2014年度には2つの研究を行った。1つは携帯機器への応用を目指した伝送線路型結合器の小型化と非接触通信の高ノイズ耐性化である。携帯機器には容量結合の非接触コネクタが使われている。電極の摩耗や破損を防ぐためである。一方容量結合では終端が難しいため高速化が望めない。我々の提案する伝送線路型結合器を用いると広帯域特性が得られるが、10mm角程度の実装面積必要となる。省面積化要求の高い携帯機器には問題となる。 そこで伝送線路型結合器の新しい形状を開発した。Two-fold TLC (T-TLC)である。従来のTLCでは差動信号線2本を平行配置していたが、T-TLCでは1本の信号線の両端から差動信号を印加する。電極が半分になり面積は1/5になる。加えて従来終端抵抗で捨てていた信号を結合に利用することができるため、結合度を9dB高くすることができる。 携帯機器には直近に大きなノイズ源(RF送信機)が存在する。ノイズ耐性の向上が課題である。新しくノイズ除去CDRを考案した。ノイズが印加すると受信波形には1クロックサイクル中に複数の信号遷移が現れる。信号遷移の数を検出することで、ノイズが印加したかどうかを識別できる。ノイズが印加していない状態で信号サンプリングを行うことでノイズ耐性を高めることができた。実験では10mm離れたGPS受信機と干渉しないこと、2mm離れたLTE/Wifi送信機と干渉しないことを確認した。 もう1つの研究は振動耐性の向上である。非接触コネクタは電極同士が接触していないため、衝撃や摩擦に強い。しかし振動が加わり通信距離が変動すると通信が正常に確立できなくなる問題があった。そこで新しくフレキシブル基板を用いて非接触コネクタを形成し、接着剤による実装方式を考案した。実験では小型宇宙衛星打ち上げ時と同等の振動を印加しても通信エラーが発生しないことを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では(1)車載用ツイストペアケーブルに適合した非接触コネクタの形状考案と振動耐性向上を本年度に行い、次年度に(2)ノイズ耐性の向上と不要輻射の低減、最終年度に(3)実機による動態展示を目標としていた。しかし当初の計画を一部変更し振動耐性とノイズ耐性向上を研究した。これは振動耐性とノイズ耐性の定式化・モデル化が難しく目標達成まで時間のかかると予想されたため、初年度から研究を開始したためである。本年度はノイズ耐性向上送受信ICの開発と実機によるノイズ耐性評価、振動耐性評価まで行うことができ、高いノイズ耐性と振動耐性を実機で確認できた。本成果は容易に車載用非接触通信技術に適用可能であることも確認した。 また動態展示用にデモ機を開発し、新聞報道されるなど産業界から大きく注目を集めることができた。これらの成果は3年目に予定していた実機によるデモンストレーションの基盤となる成果である。以上から当初予定していた計画のうち(2)と(3)に対して明確な成果を得ることができ、当初の予定を大きく達成できたといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初予定していた車載ネットワーク用非接触通信技術は(1)ノイズ耐性の向上、(2)不要輻射の低減、(3)振動耐性の向上、(4)ツイストペアケーブルに適合した非接触コネクタ形状の考案、(5)実機によるデモンストレーションに細分化される。本年度の研究成果では(1)、(3)、(4)、(5)に対して明確な研究成果が得られ、いずれも車載ネットワーク用非接触通信技術に容易に転用可能であることを示した。来年度以降は(2)不要輻射の低減、(4)ツイストペアケーブルに適合した非接触コネクタ形状の考案に焦点を当て研究を遂行する。
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Research Products
(5 results)