2015 Fiscal Year Annual Research Report
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14J00504
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小菅 敦丈 慶應義塾大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 車載LAN / 非接触通信 / 高ノイズ耐性 / 振動耐性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年は昨年得られたノイズ耐性向上及び振動耐性向上における知見を基に、車載LAN用ツイストペアケーブルに適合した非接触コネクタの形状考案と振動耐性向上、及びノイズ耐性の向上と不要輻射の低減を研究し、実機によりその効果を確認した。 現在自動車分野はでは自動運転、運転支援などで急速に電子化が進んでおり、扱う情報量も増大している。比例して搭載されるモジュール数は飛躍的に増大しており、モジュール間の通信速度も高速化が求められている。配線あたりのデータ転送速度を高速化できないと、配線本数が増え、配線重量が増大し、燃費効率が悪化してしまう。ところが、従来のコネクタでは、高速な信号の波形が歪むため、これ以上の高速化が困難であった。更に、振動による通信障害(瞬断)を防ぐためにコネクタには重厚な耐震機構が必要で、ジャンクションボックスに集約・固定されている。その結果、配線をそこまで延伸する必要があり、配線は冗長になり、重量増加を招いていた。 そこで、伝送線路型結合器をツイストペアケーブルに応用したクリップ型電磁界コネクタを考案した。非接触なので振動により多少嵌合面が揺れても通信に影響はない。重厚長大な耐震機構が不要になり、コネクタを軽小短薄にできる。配線の被膜の上から(被膜を破らずに)クリップのように配線を挟むことで接続できるので、任意の場所で配線接続ができ、最短経路で配線できる。試算では、配線重量を30%削減できて、燃費を1.2%改善できる。また、インピーダンスを調整できて7倍に高速化できる。 ノイズ耐性を確保するため前方エラー訂正技術と符号化変調技術を開発した。国際標準化機構(ISO)および国際無線障害特別委員会(CISPR)の定めるノイズ耐性・および不要ノイズ輻射に関する規格を満たした。本成果は2016年2月に発刊されたIEEE TCAS-Iで発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では(1)車載用ツイストペアケーブルに適合した非接触コネクタの形状考案と振動耐性向上を昨年度に行い、次年度に(2)ノイズ耐性の向上と不要輻射の低減、最終年度に(3)実機による動態展示を目標としていた。しかし昨年度報告したように、当初の計画を一部変更し昨年度に振動耐性とノイズ耐性向上を研究した。これは振動耐性とノイズ耐性の定式化・モデル化が難しく目標達成まで時間のかかると予想されたためある。昨年度の研究により、ノイズ耐性向上送受信ICの開発と実機によるノイズ耐性評価、振動耐性評価まで行うことができ、高いノイズ耐性と振動耐性を実機で確認できた。そこで本年はこれらの知見を基に、当初計画していた(1)車載LAN用ツイストペアケーブルに適合した非接触コネクタの形状考案と振動耐性向上、及び(2) ノイズ耐性の向上と不要輻射の低減を研究し、実機によりその効果を確認した。以上から、当初予定していた計画のうち(1)と(2)に対して明確な成果を得ることができ、当初の予定を大きく達成できたといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、産業界における本研究成果の実用化に向け、動態展示を行い社会に対し幅広く本成果を発信する。同時に技術移管しやすいよう、設計マニュアルや開発キットの準備を進める。
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Research Products
(4 results)