2015 Fiscal Year Annual Research Report
自律的な同一化的動機づけを形成させる手段的な高校受験観に関する研究
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14J00619
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西村 多久磨 東京大学, 教育学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 受験 / 学業成績 / 精神的健康 / 動機づけ / 質問紙調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、高校受験勉強の多様な機能を測定する尺度を用いて(1)高校受験勉強の機能と学業成績や精神的健康との関連を調べること、(2)高校受験勉強の機能と自律的な同一化的動機づけとの関連を調べること、の2点を目的とした調査研究を行った。 まず(1)について述べる。前年度に作成された高校受験勉強の多様な機能を測定する尺度を、受験を控えた中学3年生に実施し、学業成績と精神的健康との関連を調べた。その結果、受験勉強を自分の学習状態の診断の場として活用することによって学業成績が高まり、学習習慣の改善の場と捉えることによって,抑うつは低下することが明らかにされた。一方で、受験勉強によって自分の生活に制約が掛かっていると認識することによって,抑うつは高まることが明らかにされた。これらの結果は、高校受験勉強をどのように有効活用するかによって、学業成績や精神的健康に個人差が生じることを示唆している。さらに、この傾向は、中学2年生に対して定期テストを想定させた調査においても確認された。一方、(2)については、仮説通り、受験勉強を自分の学習状態の診断の場として活用することや学習習慣の改善の場として捉えることが、自律的な同一化的動機づけと強い関連がみられることが示された。この結果は、高校受験勉強の捉え方(子どもはどのように向き合えばいいのか)を指導することによって、その後の動機づけに影響を及ぼすことができることを示唆している。 平成27年度の研究成果およびその意義は、高校受験勉強は「良いものだ、悪いものだ」といった二分論的な議論からの脱却の必要性を示唆したことである。すなわち、“高校受験勉強をどのように捉え活用するかが、受験を迎える中学3年生にとって重要である”というメッセージを実証的データから示したことである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
上記の評価にした理由は以下の3点である。第1に、計画通り進んでおり、かつ得られた知見の頑健さを確かめるための追試調査も行うことができたため、第2に、仮説とは一部異なる結果が得られ、今後の研究の発展的示唆を得ることができたため、第3に、平成28年度の実施を予定していたWeb調査を実施することができたため、である。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、Web調査のデータ解析を行い結果をまとめる。また、仮説と異なる結果については、この原因を特定するための調査を行い対応する。
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Research Products
(3 results)