2014 Fiscal Year Annual Research Report
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14J00686
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
竹内 道樹 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 希少脂肪酸 / 嫌気性細菌 / 乳酸菌 / 水和脱水酵素 / 脱水素酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、共役脂肪酸や水酸化脂肪酸やオキソ脂肪酸といった希少脂肪酸に様々な生理機能が報告されており、注目が集まっている。本研究員らは乳酸菌Lactobacillus plantarum AKU 1009aのリノール酸飽和化代謝経路を明らかにしており、本代謝経路に関わる酵素として水和脱水酵素CLA-HY、脱水素酵素CLA-DH、異性化酵素CLA-DC、エノン還元酵素CLA-ERを見いだしている。本年度は、希少脂肪酸を生産する菌株の取得と並行して、目的の活性を有する菌株取得に有益な情報を得るために乳酸菌リノール酸飽和化代謝経路に関わる酵素の諸性質解明も行った。 水和脱水酵素CLA-HYが、FADを補酵素とし、NADHにより活性されるユニークな水和酵素であることを明らかにした。また、本水和酵素はΔ9位にcis型二重結合を有する炭素数18の遊離脂肪酸を水和し、対応する10-ヒドロキシ脂肪酸へと変換することを明らかにした。さらに、生成する10-ヒドロキシ脂肪酸の水酸基の立体についても解析を行い、99%以上S体であることを明らかにした。脱水素酵素CLA-DHについて諸性質の解明を行った。本酵素は10位や12位や13位に水酸基を有する水酸化脂肪酸を可逆的に脱水素する基質特異性の広い酵素であることを明らかにした。また、本酵素はR体、S体どちらの水酸化脂肪酸も酸化することができ、還元反応により生成する水酸化脂肪酸はR体とS体の混合物であったことから、本酵素は立体選択性の低い脱水素酵素であることを明らかにした。水和脱水酵素CLA-HYおよび水酸化脂肪酸脱水素酵素CLA-DHの諸性質解明については、学会誌に受理されている。 得られた知見を活用し、EPAやDHAを変換する微生物を探索したところ、共役化や飽和化といった様々な反応を触媒する菌株の取得に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
EPAやDHAを変換する微生物を探索したところ、共役化や飽和化といった様々な反応を触媒する菌株の取得に成功した。さらに、得られた菌株について培養条件や反応条件の検討を行い、至適温度、至適pHなどの様々な条件に付いて反応の最適条件を決定した。以上より本年度の達成度について順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、EPAやDHAの共役化や飽和化といった様々な反応を触媒する菌株より、反応に関与する酵素の精製を行う。本酵素について諸性質の解明を行うと伴に、本酵素を大量発現する形質転換大腸菌を作成し、希少脂肪酸生産への応用を試みる予定である。
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Research Products
(10 results)