2014 Fiscal Year Annual Research Report
癌細胞浸潤における浸潤仮足退縮の意義と制御メカニズムの解明
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14J00701
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
山内 庸平 筑波大学, 人間総合科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 浸潤仮足 / ARAP3 / Arf6 / 癌細胞浸潤 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、Arf6 GAPであるARAP3に着目し、その機能解析を行うことにより、浸潤仮足退縮の意義、制御メカニズムを明らかにすることを目的とする。採用1年目の昨年度は、ARAP3が浸潤仮足の退縮に関与するかどうか検討した。 siRNAを用いてMDA-MB-231細胞のARAP3をノックダウンし、EGF依存的に形成される浸潤仮足の数をカウントしたところ、ARAP3のノックダウンは浸潤仮足の数を減少させた。また、ARAP3をノックダウンしたMDA-MB-231細胞に野生型ARAP3を発現させたところ、EGF依存的な浸潤仮足の形成がレスキューされた。これらから、これまでの予想に反してARAP3は、EGF依存的な浸潤仮足形成を制御することが明らかとなった。一方、ARAP3をノックダウンした細胞にArf6 GAP活性欠損型ARAP3を発現させてもEGF依存的な浸潤仮足の形成はレスキューされなかったことからARAP3のArf6 GAP活性が浸潤仮足形成に関与していることが示唆された。また、PIP3結合能欠損型ARAP3変異体をARAP3ノックダウン細胞に発現させても浸潤仮足の形成がレスキューされなかったことから、ARAP3のPIP3への結合能が浸潤仮足形成に重要であることが示唆された。 これらの解析から、当初の予想に反して、ARAP3はArf6 GAP活性により、浸潤仮足の形成を制御することが明らかとなった。採用二年目は、ARAP3によるArf6 の不活性化がどのように浸潤仮足の形成を制御するのか、その分子メカニズムを解明する。また、癌細胞浸潤におけるArf6の活性サイクルの重要性を検討する。さらに、ARAP3安定発現抑制型MDA-MB-231細胞を用いたマウス癌細胞移植転移実験を行い、ARAP3の癌細胞浸潤における重要性、癌治療薬ターゲット分子としての可能性を明確化する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
採用1年目は浸潤仮足退縮におけるARAP3の関与、および浸潤仮足退縮の生理的意義の解析を予定していた。しかしながら、実験結果から、ARAP3が浸潤仮足の形成を制御するという、当初の予想と反する結果が得られた。そこで、計画を浸潤仮足形成におけるARAP3の機能解析を行うことに変更し、研究を行った。その結果、ARAP3のArfGAP活性やPIP3への結合能が浸潤仮足形成に関与するという新たな知見が得られた。また、ARAP3局在解析のためのARAP3発現ベクター作りや局在解析の条件検討などもすでに終了した。これらのことから、研究は順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度はARAP3が浸潤仮足の形成に関与するという、当初の予想と反するデータを得た。そこで今後は浸潤仮足形成におけるARAP3の機能解析に焦点をあてて研究を進める。特に次の三点について解析を行う。 (1)ARAP3が癌細胞においてArf6の活性を制御するかどうかの検討 (2)浸潤仮足形成におけるArf6活性化、不活性化サイクルの重要性、意義の検討 (3)in vivo 癌細胞浸潤におけるARAP3の重要性の検討 これらの解析によりARAP3がどのように癌細胞浸潤を制御するのか、また、癌治療薬のターゲットとしてのARAP3の可能性を検討していく。
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Research Products
(1 results)