2015 Fiscal Year Annual Research Report
極大地震時における杭の損傷過程の解明と杭基礎建物の耐震性能評価法の開発
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14J00725
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中野 尊治 大阪大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 群杭基礎 / 群杭効果 / 杭周地盤ばね / 非線形 / 振動台実験 / 三次元有限要素法 / 質点系モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、地震時における杭の損傷要因の解明と杭応力評価法の開発を目的としている。本年度の目的は、群杭基礎における杭周水平地盤抵抗の非線形性の解明である。杭どうしが近接する群杭基礎では、杭対杭の相互干渉によって一本一本の杭で杭周地盤反力が異なり、その違いが杭応力にも影響する。そのため、群杭の損傷状況を部材レベルで評価するためには、杭一本一本に作用する杭周地盤反力を適切にモデル化する必要がある。そこで本年度は、群杭基礎を対象に、小型振動台を用いた模型振動台実験と、三次元有限要素法(3D-FEM)および質点系モデルを用いた解析的検討を行い、群杭基礎における杭周地盤の抵抗性状を実験と解析の両面から把握した。 模型振動台実験では、せん断土槽の中に砂質地盤に埋設された25本杭を作製し、耐震設計のレベル2を上回る加速度の地震動を入力した。実験の結果、杭応力は隅杭で大きく中杭では小さくなり、杭位置によって差が見られた。杭周地盤反力に関しても、隅杭では正負非対称な三角形の履歴、中杭では正負対称な履歴を描き、杭位置により傾向が異なった。さらに、本実験を詳細法である3D-FEMと、簡便法である質点系モデルを用いてシミュレーションした。その結果、両解析とも実験の杭応力を概ね再現することができ、群杭基礎に対する解析モデルの適用性を確認することができた。 解析的検討では、実大の群杭基礎を対象に3D-FEMを用いた静的解析を行い、杭一本一本の杭周地盤反力を算出した。杭位置による杭周地盤反力の違いは、杭間隔が狭いほど顕著であり、また粘性地盤に比べ砂質地盤で顕著であった。また、これまであまり検討されてこなかった杭周地盤抵抗の方向性について検討するため、加力方向を15°間隔で変化させて解析を行った。その結果、基礎の外周に位置する杭の杭周地盤反力は加力方向によって著しく変化することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目的は、①群杭基礎の水平抵抗性状の把握と、②杭体の非線形性を考慮した杭の水平抵抗性状の把握である。前者の検討については、当初計画よりも慎重に行った。その成果は、目標としていた「日本建築学会構造系論文集」(査読あり)に加え、「構造工学論文集」(査読あり)にも採択されている。一方、後者の検討については課題として残っており、次年度に実施することにした。以上のことを総合的に勘案して、本研究は概ね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
「杭の損傷過程の解明」という観点からは、変動軸力と杭体の非線形性を考慮した検討を実施する。一方、「杭基礎建物の耐震性能評価法の開発」という観点からは、群杭効果や変動軸力の影響を考慮できる簡便な杭応力評価モデルの提案を目指す。
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Research Products
(6 results)