2016 Fiscal Year Annual Research Report
潤滑メカニズム解明のための潤滑剤の界面分子構造のその場観察・分析法に関する研究
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14J00744
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
渡部 誠也 東京理科大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 摩擦界面 / 和周波発生分光 / トライボロジー / 油性剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,昨年度までに開発したSFGその場観察装置を用いて,油性剤やイオン液体の摩擦界面における分子状態について測定を行った.いずれの結果においても,動的状態における界面の分子構造は静的状態における構造とは異なることが明らかとなった. n-ドデカンにステアリン酸を添加した場合では,無水石英表面に形成したステアリン酸の分子吸着膜がドデカン分子の配列を促し,さらには流れ方向に整流する役割を果たしていることが示された.潤滑油バルク側に配向したn-ドデカン分子が配向することにより,流体抵抗(曽田らの式における流体潤滑油膜のせん断強さ)を下げていると考えられる.一般的な油性剤分子吸着膜の摩擦低減効果は,摺動する2面間の直接接触を防ぐこととされているが,それに加えてこのステアリン酸分子吸着膜の基油流れを作る役割が基油による流体抵抗を減らし,摩擦低減に寄与していると考えられる.本研究により得られた新たな油性剤分子吸着膜に関する知見は,潤滑剤を用いた摩擦の制御において,添加剤の表面吸着・表面反応による境界膜の特性だけではなく,境界膜と基油との相互作用を考慮する必要があることを示唆している. イオン液体を用いた場合では,摺動中のイミダゾリウム環の傾き角が大きい,つまりイミダゾリウム環が表面に平行に近い配向をしている場合ほど摩擦係数が小さくなるという関係が明らかとなった. 以上から,ステアリン酸の結果からは,これまでに報告例のない、ステアリン酸吸着膜が基油分子の配向を促す挙動が初めて観測された.イオン液体を用いた実験からは,カチオンに含まれるイミダゾリウム環の摺動中における傾き角が摩擦特性と相関があることが示された.このように,本観察手法は,摩擦界面における分子の振る舞いと摩擦特性の関係解明に重要な知見を与えるもので,しゅう動条件に適した添加剤の開発などの潤滑技術の向上に貢献するものと考えられる.
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Research Progress Status |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(4 results)