2015 Fiscal Year Annual Research Report
直接的環化カップリングによる縮合複素環化合物の合成
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14J00760
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宇納 佑斗 大阪大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 直接カップリング / C-H官能基化 / ホスフィン / 含リン縮合複素環 / 配向基 / リン化合物 / 硫黄化合物 / 触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
「直接的環化カップリングによる縮合複素環化合物の合成」を目指し、今年度も引き続き含リン及び含硫黄芳香族化合物の直接カップリングを用いた新規変換反応の開発を試みた。私は昨年度、1,3-ジチアンを配向基とするロジウム触媒を用いたオルト位直接アルケニル化反応が進行することを報告している。この知見を活かし他の含硫黄配向基について検討を行なったところ、チオアミド基も同様に配向基として機能することがわかり、ロジウム触媒を用いたオルト位アルケニル化反応が進行することを見出した (Chem. Lett. 2015, 44, 1104.)。さらに、同反応について検討を行なっていたところ、基質のアルケンの代わりにアルキンを用いて反応を行なうと、直接カップリングおよびチオアミドのC-N結合の切断を伴った環化反応が進行してインデノン類が得られることを見出した。 また、芳香族含リン化合物の直接官能基化の展開として、ロジウム触媒存在下、アリールホスフィンオキシド類と歪みを有するアルケンとのカップリングにより形式的直接アリール化反応が進行することを見出した (ACS. Catal. 2015, 5, 6634.)。そしてこれまでの含硫黄配向基の反応開発の知見を元に、本アリール化反応をチオホスフィンアミド基質へ適用することに成功した。このチオホスフィンアミド基の特異な性質を活かし、リン中心における芳香族求電子置換反応を続いて行なうことにより、P-N結合切断およびC-P結合形成を伴いながら閉環反応が進行して縮環ホスホール骨格を構築することに成功した。本反応はワンポットで実施可能であり、中間体の精製操作を行なうことなく順番に試薬を入れていくだけで目的化合物を得ることができる。 上述のように、含リンあるいは含硫黄分子の特有の反応性を活かした新たな変換反応による新規縮合複素環骨格構築法を確立することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目の研究で得られた知見をもとに順調に含リン化合物の新規直接カップリング反応の研究を進めていくことができており、論文誌に投稿することもできている。 また、現在も見出した新規反応について論文投稿準備中であり、研究の進捗状況はおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究によりリン原子上に窒素原子と硫黄原子を有する化合物を適切な条件下処理すると、ベンゼン環に対する求電子置換反応が進行することがわかっている。 この知見をもとに我々がこれまで見出した直接カップリング反応と組み合わせてより効率的な含リン縮合複素環化合物合成法の開発に取り組む予定である。
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Research Products
(12 results)