2014 Fiscal Year Annual Research Report
ビタミンB12含有酵素の反応性制御法を模したユニークな新規生体触媒の開発
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14J00790
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
森田 能次 大阪大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | メチオニン合成酵素 / メチル基転移反応 / コバラミン / 再構成ミオグロビン / コバルトテトラデヒドロコリン |
Outline of Annual Research Achievements |
コバラミン依存型メチオニン合成酵素は、補欠分子としてコバラミンを有し、生体内で重要なメチル基転移反応をつかさどっている。 しかしながら、タンパク質部分が巨大かつ、補欠分子の分子構造が複雑であるため、反応中間体であるコバルト1価種の構造やタンパク質内でのメチル基転移反応の詳細なメカニズムは完全には理解されていない。 本研究では、酵素のタンパク質部分を含めた酵素モデルを調製し、酵素類似のメチル基転位反応を評価することで、天然酵素における反応促進のメカニズム解明をめざしている。 本年度は、酵素のタンパク質部分を含めた酵素モデルとして、補欠分子であるコバラミンのモデル錯体と適切なタンパク質マトリクスを組み合わせた複合モデルを調製し、反応中間体であるコバルト1価種の構造解析を実施した。 まず、コバラミンのモデル錯体として、コバルト1価種が比較的安定なコバルトテトラデヒドロコリン(Co(TDHC))を設計・合成した。 一方で、タンパク質マトリクスとして、結晶構造解析が容易かつ、メチオニン合成酵素と類似の配位環境を有するミオグロビンを選択した。 天然ミオグロビンから補欠分子を取り除いたアポタンパク質にCo(TDHC) を挿入することで、酵素モデルを構築した。 さらに、コバルト2価種から1価種への還元反応及び、両者の酸化状態の結晶構造を明らかにし、コバルト1価種が4配位構造であることを結晶構造学的に実証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目的としていたモデル錯体の合成および酵素モデルの調製が順調に進行し、酵素モデルの構造解析を実施することが出来た。 さらに、反応中間体であるコバルト1価種の構造解析に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに調製した酵素モデルを用いて、酵素類似のモデル反応としてタンパク質マトリクス内でのメチル錯体の生成反応およびメチル基転移反応を実施する。 さらに、理論化学的にメチル基転移反応を考察し、天然酵素におけるメチル基転移反応の促進メカニズムを解明する。
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Research Products
(4 results)