2014 Fiscal Year Annual Research Report
昆虫搭載型発電システムを用いた自律分散型センサの創製
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14J00816
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
庄司 観 大阪大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | バイオ燃料電池 / 無線センサ |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請課題では、自然調和・自律分散型バイオハイブリッドセンサロボットのコンセプトを具現化することを最終的な目標として研究に取り組んだ。特に本年度は、昆虫体液を用いたバイオ燃料電池の高出力・長寿命・小型化及び低消費電力駆動型の無線センサの試作を行った。 本申請研究では、グルコース酸化酵素としてグルコースデヒドロゲナーゼを補酵素としてジアホラーゼを電子伝達物質としてビタミンK3とNAD+を用いたアノードを作製した。トレハラーゼにより分解され発生したグルコースが、グルコースデヒドロゲナーゼにより酸化され、その後NAD+、ジアホラーゼ、ビタミンK3により電極に電子が伝達される。その結果、昆虫体液を模擬した100 mMグルコース溶液から、198uW/cm2の最大電力密度が得られた。また、電子機器を駆動させるためには数ボルト以上の電圧が必要となる。しかしながら、酵素型バイオ燃料電池の駆動電圧は数百ミリボルト程度であるため昇圧する必要がある。そこで本申請研究では、人工脂質二重膜のイオン不透過性に着目し、人工脂質二重膜でバイオ燃料電池を仕切り、バイオ燃料電池の積層を試みた。その結果、バイオ燃料電池を積層させることに成功し、バイオ燃料電池を4つ積層することで約2 Vの出力電圧が得られた。さらに本バイオ燃料電池を用いて電子デバイスの駆動実験を行い、外部回路なしで電子デバイスを駆動させることに成功した。また、低消費電力駆動型の無線センサの開発においては,消費電力が約20uW程度の無線センサを作製することに成功した。 以上の結果より、昆虫体液バイオ燃料電池を用いたセンサロボット創製の可能性を示すことが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は当初の予定通りバイオ燃料電池の出力向上、無線センサの開発を行い、本申請研究の最終目標である生物を用いた自律分散型センサロボット開発の可能性を示すことが出来たため。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、本年度開発したバイオ燃料電池のin vivoへの応用を目指す。従来の生物体液休に含まれる糖を燃料としたバイオ燃料電池は、電極を生体内に埋め込んでいるため、「生物に埋込可能な電極サイズに制限があり出力が低い」「生物に対して侵襲的である」「カソードの反応が律速となっている」などの問題点がある。そこで本申請研究では、電極を体外に搭載する昆虫搭載型バイオ燃料電池を新たに提案し開発を試みる。 その後、開発した無線センサを昆虫上に搭載し、自律分散型センサロボットの開発を目指す。
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Research Products
(4 results)