2015 Fiscal Year Annual Research Report
分子レベル安定同位体比分析を用いたサンゴ礁生態系における低次栄養段階の食物網解析
Project/Area Number |
14J00884
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
中富 伸幸 創価大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 動物プランクトン / サンゴ礁 / 低次生態系 / 安定同位体比分析 / アミノ酸 / 懸濁態有機物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本助成により、サンゴ礁の動物プランクトン群集を、同位体比分析結果の統計処理によって異なるグループに分類し、それらの炭素源を示した食物網モデルを作成した。30属以上の動物プランクトンを対象に調査した結果、同位体的に6グループに分類され、それらは主に浮遊性・底生性といった生息環境の違いに起因する異なる餌資源や、植食性・肉食性といった栄養段階の違いを反映していた。それら各グループの動物プランクトンの平均現存量・生物量・生産量を見積もった結果、一般的に熱帯沿岸域で少ないとされる植物プランクトンを炭素源とする食物連鎖が、予想に反して全体の50%以上を占めることが明らかとなった。 クロロフィルa濃度やバクテリア現存量などから見積もる生物体有機物量とともに、非生物体有機物(=デトリタス)の炭素量を逆算的に見積もることを試みた。サンゴ礁域における動物プランクトン群集の主要な炭素源と推察された植物プランクトンを含む、水塊中の有機物粒子(=POM)の有機化合物組成の分析結果を用いて時空間的な動態を解析を行った。その結果、これまでサンゴ礁で報告されているように生食食物連鎖の起点となる植物プランクトン量は少ないが、POM全体の炭素量は比較的高く、動物プランクトンの餌要求量を満たす程度存在していることが分かった。化合物レベルでは飽和脂肪酸の割合が高いことが明らかになったが、POMの炭素濃度や有機化合物組成の空間的な差異については統計的な顕著な有意差は認められなかった。 対象となる動物プランクトン属が多岐に及んだため、全炭素・窒素の分析は完了したが一部の試料のみしか目標としていた分子レベルの同位体比分析を完了することができず、生物間の定量的な輸送経路の検討までには及ばなかった。今後も継続的に対象となる生物を広範かつ詳細に分析を継続することにより、サンゴ礁低次生態系の食物網が明らかになると期待される。
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Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(2 results)