2015 Fiscal Year Annual Research Report
ウシ卵管繊毛ならびに分泌上皮細胞の機能制御機構の解明
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14J00924
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
小林 芳彦 岡山大学, 環境生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 繊毛細胞 / 分泌細胞 / 卵管 / ウシ |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に確立した磁気ビーズによる繊毛細胞単離法は単離効率が悪かったため、本年度はこの効率の向上を実施計画のひとつとした。研究代表者の所属する研究室において新たに同定した繊毛細胞マーカー RAMP2 および分泌細胞マーカー SSEA1 に対する抗体および磁気ビーズを用いてトータルの卵管上皮細胞からそれぞれの細胞を単離したところ、より高効率にそれぞれの細胞を単離することができた。さらに単離した細胞を、より生体内に近い環境を再現するために air-liquid interface culture を実施した。この培養法によって、単離した繊毛細胞には培養開始後2、3週間後に多繊毛が形成され、一方で分泌細胞には1次繊毛が形成された。従来の培養法では細胞に繊毛が形成されることはまれで、今回確立した培養法はより生体内に近い環境を再現できていると言える。 また、研究を進めていく中で、卵管上皮細胞には繊毛細胞マーカーまたは分泌細胞マーカーのどちらも発現しない第3の上皮細胞の存在することが明らかとなった。同細胞のマーカーが CD44 であることを明らかにできたため、CD44抗体および磁気ビーズを用いて同細胞を単離し、air-liquid interface culture により培養したところ、培養開始後2-3 週間後に繊毛細胞および分泌細胞のどちらにも分化できる細胞であることが明らかとなった。過去の報告において、繊毛細胞および分泌細胞の割合が排卵周期の進行に伴って変化し、それにより卵管内微細環境が整えられると言われていることから、CD44陽性の上皮前駆細胞の分化によって繊毛細胞および分泌細胞の割合が制御され、さらに繊毛機能および分泌機能の調節にまで関わっている可能性が考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
想定していなかった興味深い事項が明らかとなり、当初の研究計画よりも発展的・展開的に研究が進んだ。具体的には、当初2種類しかないと考えられていた卵管上皮細胞に3種類目が存在し、その3種類目の卵管上皮細胞は上皮前駆細胞らしい特徴を持つことが明らかとなり、繊毛細胞および分泌細胞の機能制御に大きな役割を果たす可能性がある。そのため今年度は、この第3の卵管上皮細胞の機能解明に焦点を絞りなおして研究を遂行し、当初の実施計画とは異なるが、本研究の最終目標である繊毛細胞および分泌細胞の機能制御機構解明までの道のりをおおむね順調に進行できたと評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
第3の上皮細胞が繊毛細胞および分泌細胞に分化する際に必要なタンパク質を同定する。その候補因子は細胞間情報伝達に関係するタンパク質である TGFβ、Notch、Shhとする。これらのタンパク質局在を確認し、いずれかの上皮細胞だけに発現が確認されるようであれば分化に関与することが考えられるため、siRNA を用いたノックダウンもしくは CRISPR/Cas9 を用いたノックアウトにより分化現象に関与することを確認する。
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Research Products
(3 results)