2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14J00925
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
藤原 良元 東京工業大学, 総合理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | MEMS / 磁石膜 / 微細着磁 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年急速に普及しているスマートフォンなどのモバイル機器では,スピーカー,バイブレータ,カメラのレンズ駆動部など,小型の電磁アクチュエータが複数使われている.従来,このアクチュエータは機械加工した磁石やコイルを組み立てることで製作してきたため,アクチュエータの小型化,低コスト化,および多自由度化には限界があった.そこで本研究では,MEMS技術を用い,部品の微細加工と組立を一括で行うことで,従来にない,小型,低コスト,多自由度な電磁マイクロデバイスを実現することを最終目的としている.この実現のため,本年度,下記研究を実施した. 1.スパッタ成膜した高性能磁石膜の微細着磁 レーザで局所加熱し保磁力を低下させた領域を外部静磁場により着磁する「レーザアシスト微細着磁法」を提案,実施した.微細着磁により,磁石から発生する磁束を表面に集中させ大磁場が発生可能となる.実験では,厚み4.5μm,最大エネルギ積約300kJ/m3の磁石膜に対し,最小幅100μmでの着磁を実現した.一方,従来にない微細な着磁は実現したものの,磁石の膜厚が最大20μmと小さく,発生磁場は不十分であり,より厚い磁石膜に対しての同プロセスの適用が,新たな課題となった. 2.PLD法で成膜した磁石膜の諸特性評価 近年,長崎大学の中野らにより,PLD法を用いることで,最大エネルギ積は50kJ/m3程度と劣るものの,最大厚み160μmの磁石膜が製作可能であることが報告されている.今回,この磁石膜の微細着磁,MEMS応用を目指し,第一段階として,関連する諸特性を評価した.結果,(1)表面に高さ50μm程度の凹凸の形成,(2)内部に径10μm程度の空洞の形成,(3)スパッタ膜に比べ高い密着性,(4)スパッタ膜では困難だったウェットエッチングが容易であることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初目標としていた,スパッタにより製作する薄型磁石膜に対しての微細着磁を実現した.また,現状の薄型磁石膜の限界を把握し,PLD法を利用して製作する厚みの大きい磁石膜利用の検討をはじめることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
PLD法で製作する厚みの大きい磁石膜のMEMS応用を目指し,表面凹凸の低減,および,微細着磁を検討する.また,真空成膜法に頼らない,厚膜化が容易な磁石膜の製作を目指し,基板一体で粉体磁石を焼結させる手法を検討する.
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Research Products
(2 results)