2015 Fiscal Year Annual Research Report
野生チンパンジーの社会的相互行為の諸形式とその発達過程
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14J00963
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西江 仁徳 京都大学, 野生動物研究センター, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 相互行為 / チンパンジー / 社会的文脈 / コミュニケーション / 道具 / 挨拶 |
Outline of Annual Research Achievements |
2015年11月~12月にかけてタンザニア・マハレM集団のチンパンジーを対象に野外調査を実施した。研究実施計画にもとづき、「リーフクリップ」および「パントグラント」を中心に行動データを収集した。その他にも、対角毛づくろいや水遊び、狩猟や新奇行動などの事例についても、補足的にデータを収集した。とくに2015年の調査では、複数の新奇行動の観察に恵まれたため、これらの観察結果をまとめて短報を執筆中である。 リーフクリップに関しては、長期データを統合して、当該行動が発現する社会的文脈についての共著論文を執筆中である。また、動画資料について、動画解析ソフトを使用して、リーフクリップやパントグラントが生起する相互行為場面について詳細な分析を進めている。 これらの成果の一部を、2015年7月の第31回日本霊長類学会大会、2015年10月の第69回日本人類学会大会などで発表した。また、調査地であるタンザニア・マハレの調査開始から50周年の記念論文集(Mahale Chimpanzees: 50 Years of Research, Cambridge Univ. Press)が2015年9月に出版され、このうち「Culture」「Use of tools and other objects」「Dietary list」の各章を分担執筆した。さらに、共著書「他者―人類社会の進化」(河合香吏編、京都大学学術出版会)を2016年3月に出版し、「第6章:続・アルファオスとは「誰のこと」か?――チンパンジー社会における「他者」のあらわれ」を執筆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リーフクリップの社会的文脈に関しては、おおむねデータの分析を終え、論文執筆に差し掛かっている。リーフクリップをともなう相互行為場面の詳細な分析を進める必要があるが、分析の基礎資料はおおむね整った。 パントグラントについてはまだ十分にデータが集まっていないため分析が遅れているが、新奇の挨拶行動を発見するなど、当初の想定を上回る観察結果も得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
2016年度も夏から秋にかけてタンザニア・マハレでの野外調査を実施し、リーフクリップとパントグラントのデータ収集・蓄積をはかる。リーフクリップの長期データにもとづく社会的文脈を分析した論文を投稿する。これまでに収集したパントグラントとリーフクリップの動画資料の分析を進める。そのほか、これまでの調査で得られた子殺しや新奇行動などの稀な事例について学会発表をおこない、すみやかに論文を執筆・投稿する。
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Research Products
(5 results)
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[Book] 他者―人類社会の進化2016
Author(s)
河合香吏, 黒田末寿, 中村美知夫, 曽我亨, 北村光二, 早木仁成, 西江仁徳, 伊藤詞子, 花村俊吉, 大村敬一, 杉山祐子, 西井涼子, 田中雅一, 内堀基光, 山越言, 足立薫, 竹ノ下祐二, 床呂郁哉, 船曳建夫
Total Pages
466
Publisher
京都大学学術出版会
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[Book] Mahale Chimpanzees: 50 Years of Research2015
Author(s)
Nakamura M, Hosaka K, Itoh N, Zamma K, Shimada M, Ihobe H, Takahata Y, Inoue E, Matsusaka T, Fujita S, Nishie H, Hanamura S, etc
Total Pages
797
Publisher
Cambridge University Press