2014 Fiscal Year Annual Research Report
労働市場の情報統計力学:実データに基づくシミュレータ構築による構成論的アプローチ
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14J01059
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
陳 鶴 北海道大学, 情報科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 経済物理学 / 大卒労働市場 / 社会格差問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
大卒労働市場において創発する格差に関する理解を目指した数理モデルを提案し、いくつかの格差指標を用いて数値シミュレーションの結果を定量化した。その成果を国内外の研究会・学会で発表した。
経済学をはじめとする様々な分野で「格差」に関する議論が注目を集めている。その中、人々の収入差 (所得格差) が大きくなると、多くの社会的不安を引き起こし、一国を不安定化する要因にもなる。こうした格差の大きさを定量化する代表的指標としては「ジニ係数」が挙げられる。そして、我が国の社会的状況を見ると、このジニ係数が年々増加傾向にあり、貧富の差が大きくなるどころか、世代間でその貧富の差が固定されてしまう恐れがあることも懸念されている。こうした収入格差の「起源」として、大卒就職市場における内定数格差があげられる。企業が大学名などの「一元的」基準で採用する場合、内定数格差は大きくなる傾向がある。近年、企業は従業員の「多様性」を重視し、それぞれ独自の選別基準をもち、その基準に合致する学生を採用しようと試みている。一方の学生も企業にエントリする際、就職支援サイトを介して適正検査を行い、そこで大卒労働市場における「固有の適性」が付与される。企業の持つ選別指針と学生の適性が合致すれば双方にとって最も好ましく、全ての学生に当てはまれば、いわゆるミスマッチも緩和されるはずである。そこで本年度は、企業の持つ固有の選別指針ベクトルと学生個々がもつ特徴ベクトルを既に我々が提案した確率モデルに導入し、双方のベクトルの内積値の順序で企業が内定者を決定するジョブ・マッチングプロセスを導入し、内定数格差をジニ係数を用いて数値的に評価した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成26年度は当研究計画目標期間の第1年目に相当し、労働市場の数理モデルの整備と内定数格差を中心とした研究を推進したが、シミュレータの構築、実データによる数理モデルの精密化などは依然として進展がなく、結果が得られておらず、全体としてみると1年目の計画を達成したとは言いがたい。しかし、最近、新しい研究領域として注目をあびている「格差」に関し、企業の選別基準と学生の特徴量をそれぞれ多次元ベクトルで与え、これらベクトルの内積値の順序から各企業が内定を出す数理モデルを提案した。こうすることで、学生-企業双方の就活、選別における「多様性」が労働市場にどのような影響を与えるのかを、情報統計力学を用いて定量的に評価することができる。 こうした「内定数格差」について、数理モデルの枠内で議論できる側面を見いだすことができた点は評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在行っている研究は、研究計画目標には達成していない。引き続き、実データ収集と分析の方法を強化、充実していく必要がある。実データに基づく現実な労働市場に近づけるモデル構築が今後の課題と考える。
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Research Products
(4 results)