2014 Fiscal Year Annual Research Report
対人関係の調整から見たポライトネスの研究:自然会話を用いて
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14J01064
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
臼田 泰如 京都大学, 人間・環境学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 対人関係 / 相互行為 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,相互行為的観点から対人関係の調整行動について明らかにすることである.相互行為的な観点とは,人々が会話やそのほかの「やりとり」を行う際,参与者のどのような行動によってその直後の行動が可能になったか,またどのような立ち位置でやりとりに参加しているか,といったことに主眼をおき,参与者にとって理解/利用可能な要素を記述し,やりとりの諸相を分析することである.こうした手法をとることにより,性別・年齢・国籍などの外面的な要素を前提とせず,当事者にとって何が重要であるかを追うことができる.対人関係はしばしばそのような外的要因ではなく,局所的な関係に関わるアドホックな位置取りが関わっており,こうした観点は有効である. このような問題意識に基づき,2014年度には新たに,継続的に活動する非公式なサークルのデータ収録を開始し,すでに30時間程度の映像データを蓄積した.このデータを用いた研究として,第35回社会言語科学会研究大会(2015/3/14-15, 東京女子大学)において研究発表を行った.この発表において申請者は.多人数の会話が行われる状況において,ひとりの説明者が「説明」を行っている時,それに応接して別の参与者が「冗談を言うこと」の相互行為的機能を分析した.申請者はこうした「冗談」は,それに続く位置においてさらに別の参与者の「関与」を呼び込む機能があると分析し,こうした「関与」が可能になることや実際に行われることが場のラポール形成に影響しているとの考察を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2014年度にはほぼ予定通りのデータ収録が行えたほか,アイディアと方針の蓄積がある程度行えたため,2015年度の研究成果公表に対して十分な足がかりが形成できたと考える.
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Strategy for Future Research Activity |
2015年度には2014年度と同様にデータの収録を進めていくほか,すでに蓄積のあるデータと着想に則って研究成果の公表を進める.また昨年度から蓄積したデータにより,それ以前から従事している起業コンサルテーション場面の分析に対しても洞察を得ることができるものと考えられるため,並行して分析を進め,研究成果の公表を行う.
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Research Products
(8 results)