2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14J01136
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
綿重 達哉 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 超伝導 / 鉄系超伝導体 / 熱伝導率測定 / 熱ホール効果 / BCS-BECクロスオーバー / 比熱測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該研究者は昨年度末にドイツの強磁場施設においてFeSeの熱伝導率及び熱ホール効果の測定を行った。本年度はその測定結果について議論を行い、FeSeの超伝導相の低温高磁場領域で熱ホール角が異常を示すことを明らかにした。このことはその磁場領域で準粒子の散乱メカニズムが変化していることを示しており、そこに明確な相転移があることを強く示唆している。この異常な超伝導相の一つの候補として、n>1以上の高いランダウ準位に起因したFFLO状態が挙げられる。この結果について当該研究者は日本物理学会で口頭発表行った。また論文を執筆し、JPSJ誌に論文が掲載された。 また本年度は新たに断熱法による比熱測定のシステムを立ち上げ、FeSeおよびそのS置換系の低温・磁場中での比熱測定を行った。FeSeにおいて、高磁場領域では比熱が磁場に対してスーパーリニアな振る舞いを見せ、この系ではPauli対破壊効果が非常に強いことが明らかとなった。超伝導ギャップ構造についてはFeSeおよびFe(Se,S)のいずれでもマルチギャップ的な振る舞いが観測された。FeSeにおいては、小さいほうのギャップは上部臨界磁場が4 T程度と上記の熱ホール効果の測定とコンシステントな結果が得られた。一方で、S置換していくと小さいほうのギャップが急激に抑制されていく振る舞いが観測され、ドール量x = 0.13付近で1 T程度にまで小さくなっていることが分かった。このことは鉄系超伝導体の超伝導発現機構を解明するうえで非常に重要であると考えられ、またx = 0.17付近にあるネマティック量子臨界点との関係も非常に興味深い。この結果に関しても日本物理学会で報告を行っている。
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Research Progress Status |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(21 results)
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[Journal Article] Quasiparticle Excitations in the Superconducting State of FeSe Probed by Thermal Hall Conductivity in the Vicinity of the BCS-BEC Crossover2017
Author(s)
T. Watashige, S. Arsenijevic, T. Yamashita, D. Terazawa, T. Onishi, L. Opherden, S. Kasahara, Y. Tokiwa, Y. Kasahara, T. Shibauchi, H. v. Lohneysen, J. Wosnitza, and Y. Matsuda
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Journal Title
Journal of the Physical Society of Japan
Volume: 86
Pages: 014707
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Dome-shaped magnetic order competing with high-temperature superconductivity at high pressures in FeSe2016
Author(s)
J. P. Sun, K. Matsuura, G. Z. Ye, Y. Mizukami, M. Shimozawa, K. Matsubayashi, M. Yamashita, T. Watashige, S. Kasahara, Y. Matsuda, J.-Q. Yan, B. C. Sales, Y. Uwatoko, J.-G. Cheng, and T. Shibauchi
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Journal Title
Nature Communications
Volume: 7
Pages: 12146
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Giant superconducting fluctuations in the compensated semimetal FeSe at the BCS-BEC crossover2016
Author(s)
S. Kasahara, T. Yamashita, A. Shi, R. Kobayashi, Y. Shimoyama, T. Watashige, K. Ishida, T. Terashima, T. Wolf, F. Hardy, C. Meingast, H. v. Lohneysen, A. Levchenko, T. Shibauchi, and Y. Matsuda
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Journal Title
Nature Communications
Volume: 7
Pages: 12843
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
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[Presentation] レーザー角度分解光電子分光によるFe(Se,S)の超伝導ギャップの観測2017
Author(s)
橋本嵩広, 大田由一, 渡部俊太郎, C.-T. Chen, 綿重達哉, 小林遼, 笠原成, 松田祐司, 芝内孝禎, 岡崎浩三, 辛埴, 都築章宏
Organizer
日本物理学会 第72回年次大会
Place of Presentation
大阪大学 豊中キャンパス
Year and Date
2017-03-17 – 2017-03-20
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[Presentation] FeSe1-xSxにおける熱輸送現象2017
Author(s)
佐藤雄貴, 村山陽奈子, 山下卓也, 寺澤大樹, 大西隆史, 綿重達哉, 笠原成, 笠原裕一, 芝内孝禎, 松田祐司
Organizer
日本物理学会 第72回年次大会
Place of Presentation
大阪大学 豊中キャンパス
Year and Date
2017-03-17 – 2017-03-20
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[Presentation] Fe(Se,S)純良単結晶における高圧下X線回折2017
Author(s)
水上雄太, 松浦康平, 細井優, 石田浩祐, 綿重達哉, 笠原成, 前島尚行, 町田晃彦, 綿貫徹, 福田竜生, 松田祐司, 芝内孝禎
Organizer
日本物理学会 第72回年次大会
Place of Presentation
大阪大学 豊中キャンパス
Year and Date
2017-03-17 – 2017-03-20
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[Presentation] 鉄系超伝導体FeSe単結晶の強磁場下での熱ホール効果2016
Author(s)
綿重達哉, Stevan ArsenijevicA, 笠原成, 山下卓也, 寺澤大樹, 大西隆史, 常盤欣文, 笠原裕一, 芝内孝禎B, Joachim WosnitzaA, 松田祐司
Organizer
日本物理学会 2016年秋季大会
Place of Presentation
金沢大学 角間キャンパス
Year and Date
2016-09-13 – 2016-09-16
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[Presentation] 鉄系超伝導体Fe(Se1-xSx)の超音波測定2016
Author(s)
納口昇也, 赤坂直哉, 堀越啓太, 石塚紘晃, 中村光輝, 中西良樹, 綿重達哉, 笠原成, 芝内孝禎, 松田祐司, 吉澤正人
Organizer
日本物理学会 2016年秋季大会
Place of Presentation
金沢大学 角間キャンパス
Year and Date
2016-09-13 – 2016-09-16
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[Presentation] レーザー角度分解光電子分光によるFeSeの軌道秩序状態における超伝導ギャップ異方性の観測 22016
Author(s)
橋本嵩広, 大田由一, 山本遇哲, 鈴木裕也, 下志万貴博, 渡部俊太郎, C.-T. Chen, 綿重達哉, 小林遼, 笠原成, 松田祐司, 芝内孝禎E, 岡崎浩三, 辛埴
Organizer
日本物理学会 2016年秋季大会
Place of Presentation
金沢大学 角間キャンパス
Year and Date
2016-09-13 – 2016-09-16
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[Presentation] FeSeの高圧下高温超伝導相近傍の結晶構造2016
Author(s)
松浦康平, 細井優, 石田浩祐, 水上雄太, 綿重達哉, 笠原成, 前島尚行, 町田晃彦, 綿貫徹, 福田竜生, 松田祐司, 芝内孝禎
Organizer
日本物理学会 2016年秋季大会
Place of Presentation
金沢大学 角間キャンパス
Year and Date
2016-09-13 – 2016-09-16
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