2014 Fiscal Year Annual Research Report
新規プロテオーム解析手法による根粒菌の窒素固定機構の解明とアンモニア生産への応用
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14J01156
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
立上 陽平 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 根粒菌 / アンモニア生産 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.Mesorhizobium lotiの転写因子による人工遺伝子発現制御 これまでの研究の成果から、我々はMesorhizobium lotiの共生状態特異的な転写因子である、nifA2(mlr5837)とrpoN2(mll5872)に着目していた。そして、これら二つの転写因子を試験管培養下でも誘導発現させることにより、M. lotiのタンパク質発現が共生状態に近づくのではないかと考えた。 まず、我々は2つの転写因子を誘導的に発現できるようにするため、両転写因子遺伝子の上流にIPTG誘導可能なlac promoterを組み込んだ。これにより、2つの転写因子がIPTGにより発現誘導できることが示された。さらに、これらの転写因子により制御される窒素固定関連遺伝子群の発現も調べるため、プロテオーム解析を行った。すると、窒素固定に関わるnif遺伝子群のタンパク質が数多く同定された。これにより、M. lotiの窒素固定遺伝子が非共生状態でも誘導可能であることを示した。今後は、それらを用いて実際にアンモニア生産に適用させることを予定している。 2.M. lotiの共生下における時系列定量プロテオーム解析 根粒菌が植物との共生下において、どのように窒素固定に最適な菌体内環境を構築するかについての機構は、根粒菌をアンモニア生産で使う上で有用な知見になりうると考えた。そのため、我々は根粒が成長していく過程における、根粒菌の時系列定量プロテオーム解析を行った。 実験は宿主に根粒菌を接種後、2,3,4週間において形成された根粒を用いて行った。結果、共生時の根粒菌が糖新生を止めること、根粒形成初期において窒素欠乏状態に陥ること、アミノ酸代謝が大きく変化することなどが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は、当初予定していたMesorhizobium lotiの転写因子制御による人工的遺伝子発現制御に関して、そのコンセプトの実証に成功している。実際に窒素固定に関わる多くのタンパク質が発現できており、アンモニア生産への可能性を示すことができた。 更に、当初計画していた研究以外にも、M. lotiの時系列定量プロテオーム解析などの研究も進んでおり、当初予定していた以上に進捗があった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は当初の計画通り、本年度に作製した転写因子発現株を用いて、M. lotiのアンモニア生産系を構築する予定である。
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Research Products
(3 results)