2014 Fiscal Year Annual Research Report
核小体のストレス応答:構造と機能を制御する分子機構の解明
Project/Area Number |
14J01290
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
松森 はるか 熊本大学, 発生医学研究所, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 核小体 / 画像解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
核小体は細胞核内最大の構造体で、細胞がタンパク質を産生するために必要なリボソームの生合成に関与する。核小体におけるリボソーム生合成の過程は、細胞内で最もエネルギーを消費するため、栄養飢餓などのストレスを受けた細胞では、核小体の機能が抑制されることによって、細胞の恒常性が維持される。 一方、この様なストレス下では、核小体の形態が多様に変化し、核小体構成因子の大編成が誘導される。近年では、核小体におけるリボソーム生合成の破綻がダイアモンドブラックファン貧血症などの「リボソーム病」に関わることが報告されている。しかし、核小体の形成と機能を制御する分子機序は明らかでない。 本研究では、核小体の形成に関わる分子を同定するために、745因子をターゲットにして、ハイコンテントsiRNAスクリーニングを行った。siRNA処理した細胞を核小体の特異抗体で免疫染色し、可視化された核小体の面積や蛍光強度を自動画像解析装置で測定することによって、核小体の形態異常を評価した。 ノックダウン細胞では核小体の形態と共に、rDNA転写やrRNAプロセシングにも影響が検出された。これらの結果から、同定した因子が核小体の形成と機能の維持に必要であることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究では、96ウェルプレートでsiRNA処理した細胞を、核小体の特異抗体によって免疫染色し、自動画像解析装置によって染色画像を自動撮影するとともに、可視化した核小体の面積や蛍光強度をハイスループットに測定することによって、核小体の形態変化を検出し、統計的に評価する手法を確立した。ノックダウン細胞では、蛍光強度の低下や、面積の増大を誘導し、その中から核小体の形成維持に必要な16個の因子を同定した。 またこのような定量的な手法を応用して、ノックダウンが誘導する核小体形態をグループに分類することに取り組んだ。その結果、ある特定の形態に関わる因子に着目して、そのノックダウン細胞でrDNAの転写やrRNAプロセシングを測定するなど、詳細な解析を行うことが出来た。 本研究で確立した核小体の形態を定量化する画像解析技術と、得られた研究結果については、国内または国外の学会や研究会において発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで、細胞における形態の識別は目視で行われることが多く、また生物画像には様々な細胞が混在するために、形態変化を検出・評価することは難しく、画像解析の課題の一つであった。本研究では、核小体形態を画像解析によって定量化し、さらに形態をグループに分類することに取り組んできた。この過程で得られた画像解析技術と新しい知見は、病理の検体など臨床への応用化が期待できる。 本研究で着目した因子は、疾患への関与が報告されている。そこで、今後は臨床検体を用いて、核小体の形態や機能の解析を行い、病態の解明に取り組む。
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Research Products
(8 results)