2014 Fiscal Year Annual Research Report
活動銀河核のGeV-TeVガンマ線観測による宇宙赤外背景放射と銀河間磁場の研究
Project/Area Number |
14J01313
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
今野 裕介 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | ガンマ線観測 / 活動銀河核 / 銀河間磁場 / 大気チェレンコフ望遠鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
活動銀河核のような銀河系外の天体から放射されるTeVガンマ線光子は、宇宙空間を伝播する間に可視・赤外の背景光子と相互作用し電子対を生成し、生成された電子対は銀河間磁場の影響を受け散乱されながらマイクロ波背景光子を逆コンプトン散乱しGeV領域のガンマ線として地球で観測される。こうした相互作用や銀河間磁場による散乱の効果を評価するため、ガンマ線光子の伝播に対するモンテカルロシミュレーションのコードを開発した。また、開発したコードを用いてシミュレーションを行い、観測において期待される銀河間磁場の効果を評価した。銀河間磁場が大きいほど途中で生成される電子対が大きく散乱され、天体のまわりでの広がりの大きいガンマ線ハロー放射が得られた。磁場強度が大きすぎると望遠鏡視野内で一様に広がって散乱されてしまい、検出が難しくなるため、点源のまわりにわずかに広がったハロー放射として実際に有意な検出ができるのは10の-15乗ガウス程度の限られた磁場強度の領域であることがわかった。このシミュレーション結果により、観測結果とシミュレーションを比較し、この磁場強度領域に対して制限を与えることが可能となった。観測から銀河間磁場の強度に対して強い制限を与えることができれば、我々の銀河における磁場の起源を明らかにする上で重要な成果となる。 観測データとしてMAGIC望遠鏡のデータを使用することになるが、MAGIC望遠鏡グループでの活動として、望遠鏡のあるカナリア諸島・ラパルマ島に1か月滞在し、望遠鏡観測オペレーションを行った。 将来のさらに感度の高い観測のため、CTA大口径望遠鏡のカメラ開発を平行して行った。これまでに開発してきたカメラ読み出し回路を改良し、大口径望遠鏡の1号機へと搭載するモデルとなる読み出し回路基板を設計、製作した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の目標である銀河間磁場に制限を与えるという点に関して、観測結果を評価するために必要なシミュレーションコードを開発したという点で進展があった。しかしながら、活動銀河核の観測結果とシミュレーションを比較し、物理的結果を出すまでには至っておらず、研究の結果をまとめ論文として発表することもできていない。この点に関しては研究計画の長期的な見通しが不足していた。
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Strategy for Future Research Activity |
活動銀河核の観測結果とシミュレーションを比較し、銀河間磁場に制限を与え、論文として発表することを目指す。そのため、MAGIC望遠鏡グループの共同研究者と積極的に議論を行い、効果的に研究を進める。 CTA大口径望遠鏡のカメラ開発と平行して研究を進める必要があるため、常に進捗状況を見直しながら計画的に研究を行う。
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