2014 Fiscal Year Annual Research Report
過負荷故障カスケードに対する複雑ネットワークの頑強性
Project/Area Number |
14J01323
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
水高 将吾 北海道大学, 工学院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 複雑ネットワーク / パーコレーション / ランダムウォーク / 過負荷故障 |
Outline of Annual Research Achievements |
ネットワーク上の故障の連鎖である過負荷故障カスケードは、電力網における停電や、企業間取引ネットワークにおける連鎖倒産など、広範なネットワークにみられる現象であるため、盛んに研究されている。従来研究においては、議論の見通しを良くするためや解析的取扱いを簡単にするため、ネットワークの全構成要素間の最短経路に流れが仮定されており、構成要素にかかる負荷の揺らぎが無視されていた。このことは、平均負荷が要素の負荷許容量(耐性)を超えることによって過負荷故障が起きることに対応する。このようなモデル化の下で、現実ネットワークの多くに共通する次数(構成要素が他の要素と結ぶ関係数)が不均一なネットワーク(スケールフリー・ネットワーク)は過負荷故障カスケードに対して脆弱であることが明らかにされている。しかしながら、一般に橋やビルなどの構造物の崩壊や河川における洪水などは、揺らいでいる負荷の瞬間的な値が耐性を超えたことによって引き起こされるExtreme Eventsであるため、平均負荷による議論と負荷揺らぎを考慮した議論とでは統計的な性質が異なる可能性がある。本研究では、負荷揺らぎによって故障が引き起こされる過負荷故障カスケード・モデルを提案し、過負荷故障カスケードに対するネットワークの頑強性を解明することが目的である。特に今年度は、ネットワーク上の負荷をランダムウォーカーとみなすことで負荷揺らぎを考慮した過負荷化故障カスケード・モデルを提案し、このモデルの下でネットワークの頑強性とネットワーク構造の関係を調べた。その結果、従来モデルの結論とは反対に、提案モデルの下では過負荷故障カスケードに対してスケールフリー・ネットワークが頑強であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた負荷をランダムウォーカーとみなしたモデルの下での時間的に揺らぐ負荷が引き起こす過負荷故障カスケードに対するネットワーク頑強性の解明に留まらず、提案モデルから得られる結論が負荷揺らぎ効果によって現れるという一般性の高い結論を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究成果を踏まえた上で、一定コスト下で最も頑強なネットワーク構造及び構成要素の耐性設定のさせ方を解明する。
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Research Products
(6 results)