2015 Fiscal Year Annual Research Report
越境文学における言語遊戯--多和田葉子をめぐる修辞学と翻訳の問題
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14J01345
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
越川 瑛理 筑波大学, 人文社会科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 越境文学 / 日独比較文学 / 翻訳論 / 修辞学 / 言語遊戯 / 自己翻訳 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究「越境文学における言語遊戯――多和田葉子をめぐる修辞学と翻訳の問題」は、在独日本人作家である多和田葉子(1960-)の創作について、顕著である言語遊戯を修辞学に基づき分析しつつ、多和田の日本語とドイツ語の二言語使用・自己翻訳において言語遊戯が占める役割を明らかにし、翻訳論にあらたな射程をもたらすものとしての多和田の二言語執筆のあり方を検討するものである。 こうした問題設定のもと、2015年度は研究発表および論文執筆・投稿を進めた。まず、五月に日本独文学会でシンポジウム「文学はどこに向かうのか--ドイツ語圏越境文学の諸相と可能性」において研究発表「越境文学を再考する 多和田葉子のMammalia in Babelと『動物たちのバベル』」を行った。また、当発表で得られた議論を反映させ、日本独文学会研究叢書に論文「「越境文学」を望む 多和田葉子のMammalia in Babelと『動物たちのバベル』」としてまとめた。 また、報告者は2015年の9月から翌16年の2月末にかけての半年間、ドイツに滞在し研究課題を遂行した。ドイツの滞在先はフンボルト大学ベルリンであり、当大学のドイツ文学教授Ulrike Vedderに師事するかたわら、同大学の図書館やベルリン州立図書館での資料収集を積極的に行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2015年度は、当初の計画に基づき、学会での研究発表および論文投稿を行ったうえ、ドイツでの半年間の滞在で研究を遂行した。また滞在先のベルリンでは研究対象である作家にインタヴューを行うこともでき、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
2016年度は、国際学会での発表および全国学会誌への論文投稿を積極的に行う。また、9月以降にドイツのボーフムに滞在し、研究指導を受けつつ、博論執筆を進めていきたい。
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Research Products
(3 results)