2014 Fiscal Year Annual Research Report
欧州統合史におけるアジア冷戦史と南北問題の再検討:ECの東南アジア政策を事例に
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14J01409
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
黒田 友哉 京都大学, 法学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | フランス / イギリス / ドイツ / EC/EU |
Outline of Annual Research Achievements |
2014年度は、史料収集の実施と論文の執筆が主な作業であった。これらの作業は研究の目的を達成する上で必要不可欠であった。というのも、1970年代にECが東南アジア諸国との関係を構築するプロセスにおいて、冷戦や南北問題がどのように影響していたかを検討する際、近年開示された諸政府(フランス、ドイツ、イギリス等)の一次史料による検討が有益な手段と考えられるからである。その成果は2点の具体的業績において部分的に公表されている。 第一の業績は、欧州連合(EU)関係の出版物を多く出し、権威あるドイツの出版社ノモスから2014年秋に出版されている。その重要性は、アーカイブベースの研究としては、管見の限りでは国内外初めての貢献である。その歴史研究としての重要性のみならず、政治学、国際関係論の分野の先行研究に対しても、今まで明らかにされてこなかったアジア冷戦が持ったインパクトと南北問題の変遷が及ぼした影響が持つ重要性を新たに指摘した。 第二の業績は、慶應義塾大学出版会から近刊予定の『戦後アジア・ヨーロッパ関係史』に収録予定のものである。現段階では編者からのコメントを待っている状況であるが、草稿は書き終えている。この研究の重要性は、歴史研究として管見の限りでは国内外初めての貢献であるということである。しかし、それにとどまらず、今まで軽視されてきたアクター、イギリスやオランダの役割を一次史料によって裏付けながら、新たに指摘した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第一に、研究の土台となる史料収集がつつがなく進行している。第二に、収集した史料をまとめて、研究の一部を2本の論文として提出するに至っているからである。第三に、当初予定した通りに、海外の専門家達にこのテーマについての議論を行ったり、アドヴァイスを受けたりしているからである。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の段階で予定した通りに、研究を進めていくつもりである。情報公開法による史料公開やインタビュー(オーラルヒストリー)に関しては、機会を今後最大限利用していきたいと考えている。また受入研究者とのコンタクトもこれまで以上に取り、海外の著名で実力ある専門家との意見交換も積極的に行っていきたいと考えている。
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