2016 Fiscal Year Annual Research Report
欧州統合史におけるアジア冷戦史と南北問題の再検討:ECの東南アジア政策を事例に
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14J01409
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
黒田 友哉 京都大学, 公共政策連携研究部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | EC(欧州共同体) / ASEAN(東南アジア諸国連合) / 南北問題 / アジア冷戦 / ヨーロピアンアイデンティティー |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度の研究実施結果は、研究成果の発表(メールマガジンでの巻頭エッセイ)であった。 今年度の主要作業は、研究成果の発表であった。EU研究の拠点であるEUSI(EU Studies Institute)のメールマガジンにおいて、特別研究員としての研究成果を現在のEU/ASEAN関係と結び付ける作業を行った。その結果、最も制度化が進んでいるとされるEUは、ASEANという鏡を持っているという解釈に至った。そして、そのようななか、EUとASEANという両者を比較するだけでなく、関係史の視点が重要であるという考えに至った。EU・ASEANの比較研究は近年進んでいるが、関係史の視点はいまだ希薄である。そのような状況に一石を投じたのである。 最後に、これまで3年の研究期間で明らかになったことを簡単にまとめておく。政治学、国際法学の先行研究が明らかにしてきたことを確認するとともに、それだけではEC・ASEAN関係の理解が不十分であることを証明した。第一に、1970年代後半には、西独の影響力だけでなく、EC域内大国のイギリス、フランスなどの影響力の相互作用の結果、ECのASEAN政策が決定されていったことを示したのである。第二に、アジア冷戦と南北問題がどのようにECのASEAN政策を規定したのか、について新たな知見を加えた。たしかに、南北間の交渉の停滞を打開する手段のひとつとしてASEANとのパートナーシップが期待されたことは明らかにされてきた。しかし、これらの要素は、部分的にしか検討されてこなかった。今年の研究成果では、南北問題のみならず、アジア冷戦がその背景要因にあったことをエヴィデンスに基づいて示したのである。 このように予定していた研究計画をおおむね遂行しながら、研究を行ってきた。今後の研究においても、その基礎を築くことに概ね成功したといえる。
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Research Progress Status |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Remarks |
2015年度に刊行した拙稿「EC/アセアン関係の制度化 一九六七-一九七五年 : EU-アジア関係の一起源をめぐって」が日本国際政治学会第9回奨励賞を受賞した。
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