2014 Fiscal Year Annual Research Report
細孔構造、微細構造制御による規則性メソポーラスカーボンの高機能化
Project/Area Number |
14J01411
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
三留 敬人 大阪大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | メソポーラスカーボン / 有機鋳型法 / 自己組織化 / 電気二重層キャパシタ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、細孔構造制御に関する研究として、水酸化カリウムの存在下で、炭素源となるレゾルシノール-ホルムアルデヒド、有機鋳型剤となるF127を混合し有機複合体を合成し、これを炭化することで細孔径が2.4nm程度の細孔を持つナノポーラスカーボンの合成に成功した。表面積は3277m2g-1であり、高い値であった。一方、F127を含めずに合成したカーボンは、細孔径が1.7nm程度であった。本合成手法では、合成過程において黒色の均一溶液となっているが、この際炭素源がある程度重合していると考えられる。この溶液から溶媒を揮発させることで有機複合体を合成しているが、この際、鋳型剤であるF127のミクロ相分離が起こったため、F127を加えて合成したカーボンはより大きな細孔径となったと考えられる。得られたカーボンに対して電気二重層キャパシタ性能評価を行ったが、低電流密度では非常に高い性能を示した。2.4nmという比較的大きなナノ細孔を有し、さらに高い表面積を持つため、このように高い性能を示したと考えらえる。 また、微細構造制御として、有機鋳型法を用いて窒素含有メソポーラスカーボン薄膜の合成を行った。窒素を含有する樹脂源としてm-アミノフェノール-ホルムアルデヒド樹脂を用いた。m-アミノフェノールとホルムアルデヒドの重合速度は非常に速いため、F127がミクロ相分離構造を取る前に重合してしまっていた。そのため、単独の炭素源として用いることは不可能であった。一方、我々はまずm-アミノフェノールとF127を塗布した後、ホルムアルデヒドを蒸気で供給することで、規則性構造の形成と重合反応を分けて行うことに成功した。この手法を用いることで、m-アミノフェノールを用いて窒素を含有するメソポーラスカーボンの合成に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細孔構造制御については、5nm以下の細孔径を持つナノポーラスカーボンの合成に成功した。この細孔構造はこれまでの合成手法では合成することが困難であった細孔構造である。一方で、これは既往の研究と同じ有機鋳型剤、炭素源を用いて合成したカーボンであり、有機鋳型剤と炭素源の組み合わせを探索する、という目標は現在未達成である。 一方で微細構造の制御については、重合反応と自己集合体の形成速度を制御することで、窒素含有規則性メソポーラスカーボンの合成に成功した。また、このカーボン薄膜は骨格中の窒素に起因する特徴的な電気化学挙動を示すことを明らかにすることに成功し、当初の目標を達成した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで、細孔径が5nm程度のメソポーラスカーボンの合成に成功しており、平成26年度は2.4nm程度の細孔径を持つナノポーラスカーボンの合成に成功した。一方、このナノポーラスカーボンの細孔径制御は未だ難しい段階である。そこで、今後は細孔径の制御を試みる予定である。具体的には、Pluronic F127より分子量が小さな鋳型剤を用いてより小さな細孔径を持つカーボンを合成する、あるいは疎水部に導入できるような疎水的な高分子を添加し、細孔径をより大きくさせる研究を行う予定である。また、直径100nm以上のポリスチレン球を用いて、ミクロ-マクロ二元細孔構造を持つカーボンの合成を検討中である。構造形成のメカニズムについて、重合度が異なる樹脂を用いて、この細孔の形成メカニズムを詳しく解明したいと考えている。また、異種元素含有による微細構造の制御として、m-アミノフェノールを用いて、高表面積ナノポーラスカーボンの合成を試みる予定である。
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Research Products
(7 results)