2015 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属触媒を用いたC-H活性化を経る環化反応の開発と不斉反応への展開
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14J01457
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
江邉 裕祐 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | イリジウム触媒 / C―H活性化 / ヒドロアリール化 / ビニルエーテル / アリルエーテル |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に見出したイリジウム触媒を用いたヒドロアリール化反応に関する実験に積極的に取り組み3つの成果を出した。1)含窒素配向基を持つ芳香族化合物を用いたビニルエーテルの分岐型選択的ヒドロアリール化反応の開発:昨年度に発見したCーH活性化を経るビニルエーテルの分岐型選択的なヒドロアリール化に関する研究を引き続き行った。2)芳香族アミドを用いたビニルエーテルの不斉ヒドロアリール化反応の開発:芳香族アミドに対してヒドロキソイリジウム種を作用させ、アミドイリジウム種を発生させたのちに、C-H結合を切断する反応形式を活用した類似のヒドロアリール化反応を行った。N-メシルベンズアミドとビニルエーテルをイリジウムキラルジエン錯体存在下反応させると、高い収率およびエナンチオ選択性で目的の付加体が得られた。3)含窒素配向基を持つ芳香族化合物を用いたアリルエーテルの分岐型選択的ヒドロアリール化反応の開発:アリルエーテルを反応系中でビニルエーテルに異性化させたのちにヒドロアリール化を行うタンデム反応を検討し、イリジウムビスホスフィン錯体が異性化およびヒドロアリール化反応の両方に高い活性を示すことを見つけた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的にそって実験に取り組み、現在までに4つの環化反応(1.環状スルホニルケチミンと1,3-ジエンの環化、2.環状アシルケチミンと1,3-ジエンの環化、3.芳香族アルジミンと1,3-ジエンの環化、4.サリチルイミンと1,3-ジエンの環化)を開発した。そのうちの2つについてはキラルジエン配位子を用いて不斉反応への展開も行っている。また環化反応の研究で得られた知見をもとに3つのヒドロアリール化反応(5.含窒素芳香族化学物を用いたビニルエーテルのヒドロアリール化、6.芳香族アミドを用いたビニルエーテルのヒドロアリール化、7.含窒素芳香族化学物を用いたアリルエーテルのヒドロアリール化)を開発した。さらに、キラルジエン配位子やキラルビスホスフィン配位子を用いて不斉反応も行った。1-6の研究成果は学術雑誌に掲載されている。また7の研究成果は日本化学会第96春季年会にて口頭発表した。以上、現在までの研究において、期待通りの研究の進展がみられたものと評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
イリジウム触媒を用いたC―H活性化を経る環化反応およびヒドロアリール化反応の研究を中心に、遷移金属触媒を用いたC-H活性化を経る炭素ー炭素結合形成反応の開発に取り組む。同時に、キラルジエン配位子やビスホスフィン配位子を用いた不斉反応への展開も行う。具体的には、1.アリルエーテルの異性化を経る分岐型選択的ヒドロアリール化反応の基質適用範囲の拡張と反応機構の考察を行う。2.ベンゾフランなどの芳香族化合物について同様のヒドロアリール化反応を試みる。3.適切な配向基を用いてアルケニル炭素―水素結合もしくはアルキル炭素―水素結合の切断を経る炭素―炭素結合形成反応の開発を行う。
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Research Products
(5 results)