2015 Fiscal Year Annual Research Report
制御性T細胞の発生、分化、維持における細胞核内分子SATB1の機能
Project/Area Number |
14J01560
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
北川 瑶子 大阪大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | Treg / Epigenetics |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では細胞核内因子Satb1を通して制御性T細胞(Treg)発生のエピジェネティック制御を明らかにした。
Satb1はゲノムオーガナイザーとしてクロマチン構造変化を起こすことが知られており、これまでの我々の研究から胸腺Treg発生に必須であることがわかっている。そこで胸腺Treg発生時に起こるエピジェネティック修飾変化を次世代シーケンス技術により網羅的に解析した結果、Treg分化特異的に特定の領域で活性化したエンハンサーのマーカーであるH3K27ac修飾が起こることがわかった。中でも、Treg特異的なスーパーエンハンサー(強いエンハンサー活性をもつ領域の集まり)では、マスター転写因子Foxp3が発現する以前に活性化が始まることがわかった。この変化は近傍遺伝子の発現やプロモーターの活性化、Treg特異的なDNA脱メチル化よりも前に起こり始めており、さらにFoxp3をはじめとするTreg signature遺伝子の近傍に存在することから、Treg分化を制御している可能性が示唆された。
次に、Satb1欠損の影響を調べたところ、Satb1欠損Treg前駆細胞では一部のTreg特異的スーパーエンハンサーでH3K27ac修飾の顕著な減少が認められた。さらに、これらの領域の近傍では、Treg分化時の遺伝子発現誘導に異常が見られた。Satb1欠損により影響を受ける領域はFoxp3などTreg発生に必須な分子の周りに存在しており、Satb1欠損Treg前駆細胞では、スーパーエンハンサーによる遺伝子発現誘導に障害が起こり、Treg分化が前駆細胞ステージで停止したと考えられる。これらの結果はTreg特異的なスーパーエンハンサーの活性化により胸腺Treg分化が誘導されることを示す。
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Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(5 results)