2014 Fiscal Year Annual Research Report
新規なシステム構成による光A/D変換の物理的限界を超える高分解能化に関する研究
Project/Area Number |
14J01585
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
永島 知貴 大阪大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
|
Keywords | 光A/D変換 / 光信号処理 / 光ファイバ / 光パルス / 光通信 / 非線形光学効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,新規なシステム構成による光A/D変換の物理的限界を超える高分解能化を目的とする.本年度は,提案する光A/D変換の分解能の向上手法の最適化と実証,および提案手法を補助するサブシステムの評価を行った.得られた成果は以下のとおりである. 1.提案する複数の分波器を用いた光A/D変換における分解能の向上手法において,量子化における誤差指標であるDNL(Differential non-linearity error)から使用可能な分波器の最大数を求める式の定式化を行った.実験により得られた量子化伝達関数から現在のシステムにおいて4つの分波器を用いた4倍の分解能の向上が可能であることを明らかにした.提案手法に用いる分波器を設計し,高精度でシフトした量子化伝達関数が得られ,光量子化の分解能が4倍に向上したことを実験的に確認した.また,本年度以降に行う高サンプリングレート条件下での提案手法の実証の準備段階として,10 GS/s, 3 bitの光A/D変換に提案手法を適用し,2倍の分解能向上が可能なことを確認した. 2.これまでの研究で,デュアルレール構成を用いた量子化誤差改善手法を提案している.本手法を用いることでDNLを低減することが可能であり,複数分波器を用いる分解能向上手法にも効果的であると期待される.デュアルレール構成では光ファイバに双方向から光パルスを入力するため,対向パルスから望ましくない影響を受ける可能性が懸念される.そこで新たに,伝播解析を用いたシミュレーションを行い,対向パルスからの影響は無視できることを明らかにした.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度では,目標としていた提案手法を用いた4倍の分解能向上の実証に成功しており,提案手法を最適化するための定式化も行っている.また,本年度以降に行う高サンプリングレート条件下での実証の予備実験も行っており,順調に研究計画を遂行できているといえる.研究成果は国際学会で発表しており,国内外問わず多数の研究者と議論を行うことができた.さらに,以前行っていた,本研究を補助する手法に対して新たに課題検討を行い,シミュレーションによりその有効性を明らかにした.この成果は現在論文雑誌に投稿中である.以上より,おおむね順調に進展していると評価することができる.
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は高サンプリングレート条件化での光A/D変換の動作の実証を行う.繰り返し周波数10 GHz の光パルス光源と複数の光遅延器を組み合わせて,高繰り返しのサンプリングパルス列を生成する.高繰り返しのサンプリングパルス列は1つ1つのパルスエネルギーを高くすることが難しくなるため,非線形光学効果を誘起しにくい.そこで,用いる高非線形ファイバの特性評価,最適化や,光ファイバ型だけでなくシリコン導波路など他の非線形光学効果誘起デバイスの使用の検討も行うことで,高サンプリングレート条件化での実証を進めていく予定である. さらに,光A/D変換の性能評価の応用例として,光通信分野において受信器の性能に合わせて伝送状態を調整可能な光フラクショナルOFDM方式への接続動作を検討している.そこで,光フラクショナルOFDM方式において要求されるA/D変換などを含む受信器内の時間ゲート性能や伝送路中の信号劣化特性について,シミュレーションと実験を用いた評価を検討中である.
|
Research Products
(5 results)